ドイツ・欧州環境規制最新動向

I. ドイツの環境規制動向 <I-3/4>

「環境産業政策について」

ドイツは環境規制が厳しい国として知られているが、世界で初めて導入された環境規制も数多い。
例えば、ダイオキシンの0.1ナノグラムという規制値、包装リサイクルに関する法律、アスベストに関する法律、オゾン層破壊物質に関する法律等は、ドイツが世界で初めて導入した法律である。
厳しい環境規制をクリアするため、環境技術の分野でも世界のトップを走っており(図4)、ドイツ政府のレポートでは、環境技術は今後2030年まで、8%くらいの成長率で伸びていくであろうと予測している(図5)。それに対し古典的産業、例えば自動車産業はかなり成熟しており成長率は3%程度、機械産業はさらに成熟度合いが高く2%程度である。
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「環境規制の動向 」
1996年に施行された「循環経済・廃棄物法」は、廃棄物の処理に関して優先順位を定めている。まず「廃棄物の発生を回避する」、次に「回避しても発生する廃棄物について-は活用する」、最終的に「活用できないものは適正処分する」。
以上であるが、ドイツ政府は大目標として、2020年までに一般廃棄物の埋め立て全廃を目指している。

リサイクルに関しては、1991年に「包装リサイクル政令」という法令を作って、包装廃棄物についてはできるだけリサイクルする、という方針を打ち出し、「循環経済・廃棄物法」第22条において、原因者責任として整備している。具体的には、環境に優しい製品の製造・販売こリサイクル材の使用、有害物質の表示、使用済み製品の回収とリサイクル等である。

しかし、この第22条は定義だけで拘束力はない。製品別の政令によって義務化、拘束力を持たせる仕組みになっており、それが一連のリサイクル政令にあたる。逆にリサイクル以外の原因者責任は、今のところ法制化されていない。
この1年間で大きな動きのあった政令が「包装」及び「廃電子機器」である。