ドイツ・欧州環境規制最新動向
I. ドイツの環境規制動向 <I-2/4>
今年2月に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の予測では、最悪の場合、2100年に現在比で4度程度の気温上昇が予測されている。
ここで最も重要なポイントは、今後15年間に有効な対策を取ることが必要不可欠であり、これに失敗すると地球環境は取り返しがつかなくなる。逆にいうと、その間に有効な対策を取れば、まだ間に合うということである。
ドイツは京都議定書で21%の削減目標を与えられたのに対して、現在18.9%まで達成し、あと一息のところまで来ている。ご承知のように、日本は6%削減に対し、現時点で11%増とほぼ倍になり、目標の達成は厳しい状況である。
「パッシブハウス(新築家屋)」による省エネルギー
ドイツの実績は、様々な政策を政府がパラレルかつ着実に実施してきた結果といえるが、1つの事例として、新築家屋における省エネルギーがある。
「パッシブハウス」と呼ばれる新築家屋では、壁、天井、床の断熱を強化して、窓も三重ガラスを使っている。そのため既存の建物に比べ、非常にわずかなエネルギーの暖房で済み、暖房に消費する平米当たりの年間エネルギーが劇的に減少する(図2)。
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このパッシブハウスが公団住宅の建設にも使われ、温暖化対策に役立てられている。
最近では「3リットルリベラハウス」という商品名で、一戸建てのパッシブハウスがドイツ・スイス・イタリア・オーストリア・スロベニアといった諸国で売り出されている。この商品のパンフレットには「暖房のためのエネルギーは一切要りません」と明記されている。
ドイツでは、今年の冬は昨年に比べ灯油価格が20%程度高くなっているが、暖房が不要となれば、価格の高騰は無関係である。、ヒートポンプを使っているため、ヒートポンプを運転するためのわずかな電気代がかかるだけである。
この「3リットルリベラハウス」の場合、最もエネルギーが 少ないランクになっている。