環境分野別詳細情報


1. エネルギー

202224

『ハーベックとレムケはEU委員会の分類(タクソノミー)規則を拒否』

ドイツ連邦環境・消費者保護省(BMUV)プレスリリース、202222

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EU委員会は今日、原子力と天然ガスを持続可能な経済活動に分類することに関する、いわゆる補完的委任規則を決定した。これは、原子力と天然ガスに関する活動のための投資を持続可能なものと分類し、それによって資金繰りの上でのメリットを享受させることを

意図する。委員会はいくつかの加盟国およびEUの持続可能な財政のプラットフォーム(PSF=Platform on Sustainable Finance)から寄せられた批判を否定し、原子力と天然ガスのこのような分類は、脱炭素、とくに石炭発電のフェーズアウトにとって、したがって、カー

ボンニュートラルの実現のために必要不可欠であると議論した。この分類の目的は、ある経済活動がエコロジー的に持続可能と分類できるかどうかを決定することである。これは、エネルギーの安全性および国内的なエネルギー政策とは独立して行われるべきである。

 

連邦経済・気候保全省、ローベルト・ハーベック大臣の話

「我々は原子力エネルギーを持続可能な経済活動に分類することは間違えであることを繰り返し、明言しました。原子力エネルギーには危険が付き物であり、コストが高いです。超小型炉のような新しい炉のコンセプトも、似た問題を抱えており、持続可能と分類する

ことはできません。すべては、持続可能な経済活動への分類というすぐれたコンセプトを不可能なものにし、その目的に矛盾しています。」

 

連邦環境・消費者保護省、シュテッフィ・レムケ大臣の話

「一連の、他のEU加盟諸国と同様に、連邦政府は、原子力エネルギーを分類法規に組み入れることにはっきりと反対します。原子力は持続可能ではなく、巨大なリスクを抱えており、コストが高すぎ、その計画と建設には時間がかかりすぎるので、カーボンニュートラルという目標に貢献するには間に合いません。原子力を持続可能と呼ぶことは、ドイツおよび他のEU加盟国の消費者の持続可能性の理解からかけ離れています。」

 

以上が概要ですが、より詳細な情報を必要とされる方は、資料番号M-1778 の全文をご覧下さい。

 

独語原文2頁+日本語訳文2頁(A4サイズ)

資料番号 M-1778

2022117

『脱原発がドイツをより安全にする』

ドイツ連邦環境・消費者保護省(BMUV)プレスリリース、20211228

 独文和訳資料提供サービス

 

シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州のブロークドルフ、ニーダーザクセン州のグローンデ、バイエルン州のグントレミンゲンCの原子力発電所は遅くとも20211231日に操業を終了する。これによって、2011年に決定された脱原発の次の重要な段階が予定どおりに実現し、わが国の原子力の安全性がはっきりと向上する。

過去数年来に向上し、国際的に比較しても高度なドイツの電力供給の信頼性が保証されることに変わりはない。

 

以上が概要ですが、より詳細な情報(とくにシュテッフィ・レムケ環境・消費者保護大臣とローベルト・ハーベク経済・気候保全大臣のステートメント)を必要とされる方は、資料番号 M-1777 の全文をご覧下さい。

 

独語原文2頁+日本語訳文2頁(A4サイズ)

資料番号 M-1777

2021年11月8日
『ドイツにおける原発の解体事業』
 ドイツの全国紙 DIE ZEIT(ディ・ツァイト)、2021年10月14日付
 独文和訳資料提供サービス

ドイツは、2022年12月31日に脱原発を達成する。現在、ドイツには操業を終了した原発が 27 あり、2022年12月31日には、これに 6 が加わる。これらの原発は解体される。

ドイツの原発の解体事業には、連邦政府直属の原発解体専門の企業である EWN(=Entsorgungswerk für Nuklearanlagen)社が取り組んでいる。北ドイツのルブミーンがまだ東ドイツに属していた当時に同地に建設されたソ連製の原子炉5基からなる原発は、当時としては欧州最大級の発電能力を持っていたが、安全上の理由から、廃炉にすることを東西ドイツの統一(1990年)後の1995年に州政府が決定し、EWN が解体事業に着手した。それから 26 年を経た現在、EWN では900人が従事しているが、2030年代の半ばまでは除染作業が、それが終了したら、本来の解体作業が予定されている。すべてが終了するのは 2060 年代あるいは 2070 年代になるとのこと。

EWN は原発の解体事業に特化した国営企業であり、ドイツ国内では、ラインラント・プファルツ州、バーデン・ビュルテンベルク州の原発の、国外では、リトワニア、ブルガリア、スロヴァキアなどの原発の解体を手懸けた。さらには、冒頭に述べたように、2023年1月1日以降は、ドイツ国内の 32 の原発の解体を行う。

これらの原発の解体に必要な年数は、ルブミーンの原発の解体はドイツにとって最初の解体プロジェクトだったために多大の年数を要したが、GRS 社の原発廃炉の専門家、センツク氏は、ルブミーン原発の解体の経験を活かすことにより、今後は、一つの原発あたり 20年程度で解体できると推定する。しかし、それにしても、2023年以降に、全部で 32 のドイツ国内の原発を何年計画で解体するのか、発表が待たれる。

この記事では、EWN の解体事業の最高責任者であるラルフ・ボルヒャルト氏および GRS (=Global Research for Safety)社 の原発廃炉の専門家であるフロロンス=ナタリー・センツク氏などに詳しくインタヴューし、また、ルブミーンの原発に足を運んで、解体の現状を詳しく報告する。

【参考】
EWN(=Entsorgungswerk für Nuklearanlagen)社の英語hp:
https://www.ewn-gmbh.de/en/home
GRS (=Global Research for Safety)社の英語hp:
https://www.grs.de/en

これらの企業にアポイントメントをご希望の場合には、取得を代行いたしますので、お申し出下さい。アポ取得の代行は無償サービスです。

 

【掲載紙の紙面】

掲載紙 DIE ZEIT(ディ・ツァイト)、2021年、第42号(10月14日付)の紙面:

写真、左上:ブロック7と8の前に積まれたスクラップの山

写真、左下:操業に至らなかったブロック6の通路
写真、右上:EWN社の解体事業の最高責任者ラルフ・ボルヒャルト氏
写真、右下:ブロック5の操作盤

ドイツ語原文1頁(395mmx565mm)をPDFにて

日本語訳文5頁(A4サイズ)をPDFにて ... 訳文頁数は推定です。
資料番号 M-1774

2020年10月4日
『核のごみの最終処分場探しに関する中間報告書』
 ドイツ連邦環境省(BMU)プレスリリース、2020年9月28日
 独文和訳資料提供サービス

連邦環境大臣スヴェンヤ・シュルツェは、今日、発表された連邦最終処分公社(BGE)の中間報告書の中に、核のごみの問題の解決のための明確な進歩と幅広い合意形成の中で決定された立地場所選定手続
きの確認を見出している。この中間報告書は、どの地域が、不都合な地質学的な条件のために BGE の観点からすると、今後の選定プロセスでは考慮するに値しないか、どの地域が、好都合の地質学的な条件を備えているかを記述する。この報告書は、まだ最終的な立地場所を決める内容ではなく、できるだけ早い時期での透明さと一般大衆の参加を可能にすることを目的とする。
ゴアレーベン(Gorleben)の岩塩廃坑は、BGE がこの報告書で発表した、90 箇所の、好都合の地質学的な条件を備えた候補地には含まれていない。

ドイツ語原文2頁+日本語訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1754

 2020年2月21日
『連邦環境大臣シュルツェ:「フェッセンハイム原発の操業終了はドイツをも、より安全にする」』
  ドイツ連邦環境省(BMU)プレスリリース、2020年2月21日
  独文和訳資料提供サービス

 

フランス最古の原発であるフェッセンハイム原発の一号炉が2020年2月22日に43年間にわたる操業を終了する。同原発は二つの原子炉からなるが、二号炉は同年6月30日に操業を終了する。同原発は独仏国境から1kmの距離にあり、南独の大学都市フライブルクからは25kmの距離にある。ドイツ連邦環境省は、この老朽原発の操業終了を以前から要望してきたが、やっと、それが実現する運びとなった。これについてシュルツェ連邦環境大臣が声明を発表したので、それを訳出する。声明の中で環境大臣は次のように述べる:「原子力は気候を救うものではない。それは危険で、コストが高く、数千世代にわたる核廃棄物を発生させる。再エネがよりよい解決策であることは明らかである。」 ドイツは2022年末までに脱原発を完了する。

 

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1736

2013年5月15日

『最終処分場:ドイツの核廃棄物はロシアにとってグッドビジネス』
    ドイツの全国紙 DIE ZEIT(ディ・ツァイト)、経済欄
    2013年1月4日付
    独文和訳資料提供サービス


ドイツ連邦政府は法律の改定によって核廃棄物の輸出を準備しているふしがある。受入国として考えられるのは現在は、ロシアだけである。ロシアはこの記事によると、2011年に、核廃棄物を中間貯蔵あるいは最終処分あるいは再処理を目的として外国から輸入することを許す法律をデゥーマ(連邦議会下院)で成立させた。ドイツ・グリーンピースの核廃棄物の専門家トビアス・ミュンヒマイヤー氏によると、ロシアは核廃棄物の輸入によるビジネス上の利益について驚くほど隠し立てのない態度であるという。

もしもこの報道の内容が正しいならば、ドイツの核廃棄物の最終処分だけでなく、世界中の核廃棄物の最終処分がロシアにとってグッドビジネスになるであろう。なぜならば、ロシアとして核廃棄物の出所をドイツに限定する理由はないであろうから。

なお、ロシアが核廃棄物を最終処分目的ですでに輸入しているか、あるいは近い将来にその予定があるかについては、訳者がモスクワのロスアトム社に直接問い合わせ中である。

日本でも『使用済核燃料で原発が止まる』(河野太郎ブログ)
http://www.taro.org/2011/05/post-1017.php
という指摘もあるほどに、核廃棄物の最終処分の問題は深刻の度合いを強めているが、ロシアがこれを引き受けてくれるならば、この問題は一挙に解決することになろう。原発推進派にとっては願ってもない朗報といえよう。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1626

2013年5月4日

『ごみ焼却の灰から水素を得る』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2013年4月23日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

よく行われる一般廃棄物の処分方法は焼却である。しかし、その際に発生する灰はどうすればよいのか。スウェーデンの科学者が、この残りかすを水素の製造のために活用するプロセスを開発したので、それを紹介する。水素の発生効率および開発者の所属・連絡先も述べる。水素の用途としては、差し当たり、発電と燃料電池車の燃料を考えている。水素を取り出した後の残りかすの有効活用についても考えを巡らせるという徹底ぶりである。

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1623

2012年10月20日

『バイオマス発電の廃熱をトラックで配達する』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2012年9月24日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

 

南ドイツのネッカー・オーデンヴァルト郡のバイオマス発電所では、発電能力は 6.5 MW だが、同時に発生する熱 15 MW は利用することなく、大気中に捨てていた。これを活用する方法として、この廃熱をトラックで配達する試みが成功を収めているので、報告する。

原文1頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1548

2012年7月24日

『力を合わせて脱原発を成し遂げる
     - 国民がエネルギー協同組合に参加』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2012年7月19日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)
    独文和訳資料提供サービス

 

ドイツでは脱原発を2022年までに達成すべく政府と国民が一丸となって「エネルギー改革」に取り組んでいるが、そのために、従来の集中型のエネルギー供給を再生可能エネルギーによる地域分散型のエネルギー供給でできるだけ代替することが国策の一つとなっている。これは、言わば、エネルギーの地産地消である。そのために大きな役割を果たすのが、エネルギー協同組合で、これは国民一人一人ではできないことも、皆が束になれば為しうる、というもの。このエネルギー協同組合の数は近年、ウナギ昇りになっており、そのおかげで、次の地図にプロットされている、エネルギーの自給自足を達成したドイツの自治体は大変な数に上り、さらに増加中:
   http://www.kommunal-erneuerbar.de/de/kommunalatlas.html
プロットをクリックすると、説明が現れる。ドイツ語なので、グーグルで独英翻訳すると便利(独日は話しにならないが、独英は結構、使い物になる)。

町や村の規模の自治体がほとんどだが、南ドイツ Bayreuth の左のプロットをクリックすると、バンベルクという人口21万の小都市がバイオマス、風力、太陽光でエネルギーの自給自足を目指すと説明がある。この規模の都市でもそれが可能ということだ。再生可能エネルギーでエネルギーの自給自足を達成した自治体の住人にとっては、化石燃料やウラン燃料の逼迫による非再生エネルギー価格の値上がりは別の星の出来事。また、そのために、そのような自治体は産業の立地誘致でも有利なので、産業誘致で町興しという方向を選んでいる。

このラジオ番組は、エネルギー協同組合の関係者へのインタヴューを通して、その現状を浮き彫りにする。

原文1頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1506

2012年7月3日

「再生可能エネルギー発電などによる原発の代替完了までの電気料金の推移予測 -

一般世帯向けと産業向けとを別々に考察」
   文書の種類:プレスリリース
   発行者:ドイツ、バーデン・ヴュルテンベルク州環境省
   発行日付:2012年6月12日
   独文和訳資料提供サービス

 

ドイツ政府は2002年以来、2022年までに脱原発を完了する方針で、廃炉を進めてきたが、2011年3月の福島原発事故後も、この方針に変わりはない(http://goo.gl/Lw90s)。

脱原発は、再生可能エネルギー発電などの代替電源やネガワットで原発を代替することにより実現するが、そのためには、再生可能エネルギー発電の設備の建設、送電網の拡充、再生可能エネルギー発電の電力の平準化の設備の建設などに巨額の設備投資が必要となるために一般消費者と産業界からは、電気料金の高騰を心配する声が挙がっていた。なお、ドイツは近隣国からの原発電力の輸入によって《自国内の脱原発》を達成するというやり方は予定していない。

そのためにバーデン・ヴュルテンベルク州環境省は、エネルギー経済の研究で名高いライプチヒ・エネルギー研究所(www.ie-leipzig.de/)に標記の内容の研究を委託した。

バーデン・ヴュルテンベルク州にはメルセデスベンツ、ポルシェ、ボッシュなどのハイテク企業が立地するが、産業界は、電気料金が高騰するならば、製造業は立地できなくなると述べている。もしそうなれば、産業の空洞化がおこり、社会的にも大きな影響がある。

結論は、上記の設備投資のために電気料金の値上がりは避けられないものの、その値上げ幅(現在~2020年)は、原発がフル稼働していた2002年~2010年の間の値上げ幅と比べると、一般世帯向け電力でもはるかに小さいというもの。産業向けの電力では、それはさらに小さく、脱原発達成の時点では現在よりも電気料金が値下がりする可能性すらある。とくに電力消費の多い産業には、FIT負担金を免除するので、電気料金はさらに下がる。プレスリリースは、こうした動向を数字および理由付けを交えて述べる。

すなわち、この州(現在、2つの原発で、原子炉が一基ずつ稼動中)では、脱原発によって原発の過酷事故のリスクがゼロになるだけでなく、電気料金の値上がりの幅が小さくなるという経済的なメリットがある。

したがって、一般世帯と産業界の《脱原発による電気料金の高騰》は杞憂に過ぎないというのが結論である。それどころか、この結論によると、為政者は、もしも脱原発を実現しない場合には、一般世帯と産業界に《不必要な電気料金の値上がり》を強いることになる。

こういう結論が出たからには、危険この上ない原発にしがみ付くべき理由は完全に消え去ったと云える。これからは政府と国民が一丸となって、脱原発に邁進、というのがドイツの昨今である。これは財界の走狗になり下がった政府が国民の反対する政策を強行する、というスタイルとは異なる。ちなみに、ドイツでは、電水事連(日本の電事連に相当)は脱原発に賛同し、唯一の原発メーカーであるシーメンスは原子力事業から撤退した。

 

もしも原発維持の場合と脱原発の場合における電気料金の値上がりの幅が僅差であるならば、この報告書の結論はドイツの国情によるものと片付けられようが、実際にはそれが大差なので、この結論は日本にも当て嵌まる可能性がある。確認計算の結果が待たれる。


原文1頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1480

2012年5月12日

報告書『福島の事故の経験を基にした、ドイツの原発の非常事態時の原発周辺の住民の保護対策の分析』
   発表者:ドイツ連邦放射線保護庁(BfS)
   発表日:2012年4月19日
   頁数:44
   言語:ドイツ語
   について次の各号を訳出する:
   a) 報告書の表紙
   b) 報告書の目次
   c) 報告書の序言
   d) 報告書の結論
   e) 報告書に関するBfSのプレスリリース
   f) 報告書に関するNGO「ミュンヘン環境研究所」のプレスリリース

   独文和訳資料提供サービス

原発事故は絶対にありえない、という仮定から出発していた3・11以前の日本政府とは対照的に、ドイツ政府は、3・11以前から、原発事故はありうるという仮定から出発していた。

放射線からの国民の保護を管轄する官庁であるBfSは、「原発事故による放射性核種の放出に対する国民の保護対策の決定のための放射線に関する基礎事項」というマニュアルを2008年に公表した(英訳版、全24頁、入手先:http://goo.gl/Jj97N)。この文書は、タイトルは複雑だが、要は、原発事故が起こりうるならば、起きた場合の対策を具体的に定めておく必要があるという発想から、避難、長期移住、一時的移住、ヨード錠剤服用など一連の保護対策を適用するための規準値(mSv)を定める。

3・11以前にすでに原発事故に関してこのような準備を整えていたドイツ政府であるが、福島で現実に発生した原発事故の放射性核種の放出データ(source term)およびその他3種類の放出データを基にして拡散予測のシミュレーション計算を行い、すでに定めてあった周辺住民の保護対策の問題点を指摘するのが本報告書である。逆に言うと、本報告書の指摘する保護対策の問題点を解決する作業が今後、必要、とBfSは控えめに結論する。しかし民間のシンクタンクであるミュンヘン環境研究所は『原発深刻事故においては周辺住民の保護は不可能』というラディカルな結論を引き出す(訳文fとして訳出)。著名な週刊誌 DER SPIEGEL も同じ結論。

大人の被曝量だけでなく、幼児の甲状腺の被曝量についてもシミュレーション計算を行い、拡散予測図を作成する。幼児に関するその図の日本語訳は:http://goo.gl/SwXbM

現在、日本では定期検査のために操業停止した原発の再稼動の是非が問題になっているが、それを感情的にではなく、客観的に議論するためには、福島第一クラスの原発事故が個々の原発で起きた場合の周辺住民の健康保護に関する、本報告書の検討(方法論と結論)が参考になろう。

原文7頁+訳文5頁(A4サイズ)
資料番号 M-1458

2012年4月7日

『福島と事故の不可避性』

   著者: チャールズ・ペロー(Charles Perrow)

   原題: Fukushima and the inevitability of accidents

   発表誌: Bulletin of the Atomic Scientists. Published online: December 1, 2011.

     原論文ダウンロードURL: http://bos.sagepub.com/content/67/6/44

   英文和訳資料提供サービス

 

アブストラクト

諸政府は、原子力発電所のようなリスクのある産業システムに、それらのリスクを減らすことができるという希望の下に、規制を適用する。また多様な形式的・非形式的の警報システムは社会が破滅を防ぐのを助けることができる。政府、企業、市民は、大惨事が起きたならば、それに反応する。しかし最近の歴史は、規制の失敗、警告の無視、大惨事への的外れの反応、そしてありふれた人間の間違いに伴われた大きな事故に満ちている。さらには、それらを予防すべく最善の対策が取られたとしても、現代社会の複雑でかつ緊密に結合されたシステムでは、「当たり前の」事故が起きるのは不可避的である。福島第一原子力発電所で起きたのはまさに、そのような予言不可能の、次から次に起こる大事故であった。政府と企業はつねに、規制、設計、トレーニング、注意の喚起によって重大な事故を防ぐために今まで以上のことを成し遂げることができる。そうであっても、破滅的なポテンシャルをもつ、いくつかの複雑系は、それらを存在させておくにはあまりにも危険である。なぜならば、人間がいかに努力しようとも、それらを安全にすることはそもそも不可能だから。

 

キーワード

事故の警告、産業の大事故、当たり前の事故[1]、確率、規制の失敗、リスク

 

資料番号 M-1412

※ 訳文(全10頁)は、岩波「世界」2012年5月号に所載()。



[1] 訳注:この「当たり前の事故」は、ペローのリスク社会学の中心概念の一つ。原語は、normal accidents。意味するところは、「起こって当然の事故」あるいは、説明的に訳すと「起こるべくして起こる事故」。なお、故高木仁三郎氏は、我々の命を巨大事故から守るための「事故学」の基礎にペローの当たり前の事故理論を据えた。これについては、高木仁三郎著作集9、市民科学者として生きるIII(七つ森書館刊行)所載の論考『巨大事故の時代』を参照。

2012年1月9日

『2011年には年間総発電量で再生可能エネルギー発電がはじめて20%を超し、さらに原子力発電を追い越した』
    ドイツ電水事連*)プレスリリース
    2011年12月16日発表
    *) 日本の電事連に相当する業界団体だが、ドイツでは水道事業も含む。
    独文和訳資料提供サービス


ドイツ電水事連会長のヒルデガルト・ミュラー女史が、ドイツでは2011年には再生可能エネルギー発電が標記のように画期的な伸びを示したことを発表した。しかし同女史は、再生可能エネルギー発電の出力変動の大きさを定量的に述べ、その平準化に取り組む必要を強調する。また、再生可能エネルギー発電の伸長に送電網の整備を対応させる必要性も強調する。

ドイツの2011年の発電方式別の発電量データの円グラフならびに再生可能エネルギー発電の中身のデータをも添付する。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1404

2011年12月31日

『それは時間のかかるプロセスになる』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年12月30日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

 

福島原発事故の今後に関して、ドイツ連邦環境省の助言機関である放射線保護委員会(SSK)の委員長、ロルフ・ミシェル教授(物理学)にインタヴューする。

質問は次のとおり:
① 9ヵ月半という時間的な間隔をおいて振り返るとき、貴方は事故の規模をどのように評価されますか。
② 今年には何度もチェルノブイリ事故との比較を耳にしました。貴方はどのように考えますか。そもそも、そのような比較には意味があるでしょうか。
③ 貴方の推定では、日本には未来永劫にわたって立入りが禁止されるべき地域が出現するでしょうか。
④ 数日前に、日本の専門家が、東京電力をするどく非難する内容の報告書を発表しました。この企業がそのような事故についてまったく準備ができていなかったとか、事故の進展に対して正しく反応しなかったとか。貴方も同じ意見ですか。
⑤ 福島原発の敷地の片づけが完全に終わるまでに、どれだけの時間がかかるか、現時点で予測できますか。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1400

2011年9月27日

『原発から撤退 - シーメンスが原子力事業から身を引く』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年9月19日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

ドイツ最大の企業であるシーメンスは2011年9月18日に原子力事業から撤退すると発表した。ペーター・レッシャー社長は、この決定をドイツの社会と政治が原子力エネルギーから降りることをハッキリと決めたことへの回答であると説明した。これは3・11の福島原発事故を受けてドイツ政府が脱原発を2022年に前倒しすることを決定したことを指す。しかしシーメンスの内情に通ずる記者がこの説明はタテマエにすぎないこと及びそのホンネを説明する。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1367

2011年9月9日

『長期的な影響 - 環境学者がチェルノブイリの負の遺産を総括』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年9月9日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

 

25年前のチェルノブイリの原発事故は今もなお、ヨーロッパに爪あとを残している。オルデンブルクでのエコロジー学会の年次総会(http://www.gfoe-2011.de/)で、リューネブルクの環境学者たちがこのウクライナの事故による環境影響に関するメタスタディを発表した。これは1986~2010年の間にヨーロッパで発表されたこのテーマに関する500の論文を読破して、その結論を総括した労作である:
"A quantitative review of the ecological impacts of the Chernobyl disaster"
Anne Nagel, Henrik von Wehrden,, Joern Fischer, Patric Brandt, Viktoria Wagner, Klaus Kummerer, Tobias Kuemmerle, Oliver Olsson, Patrick Hostert

とくにこの事故により半減期30年という長寿命の放射性核種であるセシウム137 (Cs-137)が大量に放出されたために、欧州では、事故後25年が経過した現在もなお、例えば、次のような汚染状況が報告されている:
● 南スウェーデンの野生のきのこは、181,000 Bq/kg(ドイツの大人の許容値 600 Bq/kg の300倍、ドイツの幼児の許容値 300 Bq/kg の600倍の放射能汚染)
● 南イングランドでは、今なお、多くの放牧地が残留放射能のために放牧禁止になっている。
● フィンランドでは無数にある湖で魚の養殖が盛んだが、地域によっては、残留放射能のために養殖禁止になっている。
この論文(英語)によってヨーロッパ規模の放射能汚染の全体像を把握することができよう。

参考:
チェルノブイリ事故当時の全ヨーロッパの放射能汚染分布(Cs-137).jpg
http://p.tl/9KFf

原文2頁+訳文2頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1363

2011年9月8日

『発電の穴埋め役 - 予備の発電所とキャパシティ・マーケット』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年9月7日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

 

ドイツ政府は2022年に脱原発を完了する予定だが、将来、再生可能エネルギーから発電するエコ電力が一時的に不足すれば、その穴は天然ガス発電で埋めることになるだろう、というのが、大方の予想だ。しかし、この予想は実現性があるのか。

というのは現在の市場の条件から考えると、緊急時にだけ立ち上げて発電し、平常時には稼動させないというような発電所は企業にとっても投資者にとってもペイしないからだ。

そこで、そのような発電所の受け皿として、新しい市場としてのキャパシティ・マーケットの構想が発案された。これの原語はドイツ語のKapazitätsmarkt で、これの仮訳として訳者による英語訳を用いる。この言葉は新しい造語なので、Wikipedia(独英日)にもまだ項目がない。

この構想は、連邦新エネルギー事業連合会が2011年9月7日に発表した研究報告書の核心をなす。この構想は、新しい蓄電技術や分散型の発電にも対応する。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1361

2011年9月7日

『ヨーロッパのための緑の「スーパー電池」 - ノルウェーの水力発電所に電力を蓄える』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年8月31日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

 

再生可能エネルギーで需要を上回る電力を発電したならば、それを蓄える必要がある。風と太陽の少ない時刻と地域のために。ノルウェーの揚水発電所はそのために理想的な条件を提供し、現在すでにヨーロッパの「スーパー電池」と見なされている。この番組では、その詳細を、ノルウェーの国営の電力会社 Statkraft の専門家 Steinar Bysveen 氏が縦横に語る。この事業の年間売り上げは100億ユーロ(~1兆800億円)と推定される。ノルウェーには原発は皆無で、フィヨルド地形を活用して電力の 98.5% を水力で発電している。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1357

2011年9月5日

『電力供給システムの最適化』

研究による革新-再生可能エネルギーの領域における研究助成に関する年次報告書 2010 のp.60-63
   発表者:ドイツ連邦環境省
   発表:2011年7月19日

   独文和訳資料提供サービス

 

現在の電力供給システムは、大型&集中型の発電所で発電した安定した電力を最も効率よく供給するように設計されているが、これを再生可能エネルギー発電の電力(分散型&不安定)で置き換えてゆくには、システムの基本設計を根本的に変更する必要がある。さらには従来は、消費するだけであった消費者が太陽光(PV)発電の設備を運用するならば、電力の供給方向は一方向ではなくなり、双方向となる。こういったことを含めて、どのように電力供給システムを最適化する必要があるかを分かりやすく解説する。

原文4頁+訳文4頁(A4サイズ)
資料番号 M-1328

2011年9月5日

『現在および将来の電力貯蔵技術』
研究による革新-再生可能エネルギーの領域における研究助成に関する年次報告書 2010 のp.62-63
   発表者:ドイツ連邦環境省
   発表:2011年7月19日

   独文和訳資料提供サービス

電力の供給を将来的には再生可能エネルギーで確保しようとするならば、その発電量を増やすだけでは片手落ちであり、それに特有の発電出力の不安定を平準化してやる必要がある。この報告書では、そのために用いられる電力貯蔵技術を貯蔵時間によって次の3種類に分類し、その各々に応用可能な技術を列挙し、それらの現時点での特長を記述する。

①長期的/季節的の平準化(数日~数週間)
 ・水素/メタン
②中期的の平準化(数時間~数日)
 ・揚水式発電所
 ・圧搾空気発電所
 ・レドックス・フロー電池
③短時間の平準化(数秒~数時間)
 ・蓄電池
 ・電気化学的二層コンデンサ
 ・超伝導コイル
 ・はずみ車(フライホイール)

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1332

2011年8月31日

ドイツ連邦環境省プレスリリース(108/2011):
レトゲン環境相:20%が再生可能エネルギーは大成功
- 投資の安全性が報われる・国民の幅広い支持 -
    発表日:2011年8月30日

    独文和訳資料提供サービス

 

ドイツの電水事連(BDEW)が2011年8月29日に発表した「再生可能エネルギー発電がドイツの電力需要の20%以上を供給」(次の項目を参照↓、資料番号 M-1353 として訳出提供済み)というニュースを連邦環境相のレトゲン氏がコメントしたので訳出する。

2010年度末には17%だったこの値が、2011年の前半6ヵ月に20%を超えたことについて、環境相は、再生可能エネルギーへの投資を誘導する再生可能エネルギー法(EEG)がその効果を発揮したと述べる。

また、このほど発表された再生可能エネルギー促進に関する国民の支持についての半官半民の機関による世論調査の結果を紹介して、それが国民の幅広い支持を受けていると結論する。それによると、例えば、ドイツの世帯向けの電気料金は現在、25 Cent/kWh だが、そのうちの 3.5 Cent は再生可能エネルギー発電の助成のために使われている事実を国民の圧倒的多数(79%)が支持している。また、再生可能エネルギー発電の設備が自宅の近所に立地することに国民の大多数が賛成するが、自宅近所に原発が立地することに賛成の国民は3%にすぎない。
なお、国民の94%は再生可能エネルギーの増強に賛成。また、増強に賛成する理由としてトップに来るのは、再生可能エネルギーならば子ども、孫の世代にも安全な未来を保証できるからという回答。また、ドイツでは一般消費者も電力会社を自由に選べるが、国民の18%がすでに再生可能エネルギー発電オンリーの電力会社と契約しており、さらに20%がそれを計画している。

※ このプレスリリースは、世論調査の結果をこれほど詳細には紹介していないので、訳者がそれを訳文の脚注にて紹介する。

なお、このプレスリリースを掲載する連邦環境省のサイトは、2010年度のドイツでの再生可能エネルギー利用の実態に関する詳細な英文のグラフと表からなる資料を提供しているので、ダウンロードして利用されたい:
Development of renewable energy sources in Germany in 2010 -
Graphics and tables, as of July 2011
http://www.erneuerbare-energien.de/inhalt/39831/2720/

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1355

2011年8月29日

『ドイツ連邦電気・水事業連合会(BDEW)が2011年の前半6ヵ月の数字を発表

- 再生可能エネルギーがはじめてドイツの電力需要の20%以上を供給』
    BDEWプレスリリース
    2011年8月29日発表

    独文和訳資料提供サービス

この見出しの20%の壁を破ったというのはドイツの再生可能エネルギー発電にとって大きな出来事である。その内で筆頭は風力の7.5%。なお、太陽光(PV)がはじめて水力を追い越したことが特筆される。各発電方式別の数字と昨年同期との比較は訳文を参照。

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1353

2011年8月26日

『研究の結論:ドイツの原発にかけられている事故被害賠償保険の金額は極端に低い』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年5月11日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

 

ドイツの原発が事故を起こした場合には、それに起因する被害の賠償は、総額25億ユーロ(~2775億円)までしか保険の対象となっていない*)。これは福島原発の過酷事故のもたらした被害の金額**)と比べても話にならないほど僅かな金額だ。

この研究の依頼者によれば、ドイツの電力業界は、このように保険の費用を極端に節約することにより、原発の電力は安いと詐称し、それに比べて再生可能エネルギーの電力は高いと不当な中傷を展開してきた、とのこと。

この研究に関するデータは次のとおり:
依頼者:ドイツ連邦再生可能エネルギー協会 http://www.bee-ev.de
実行者:保険フォーラム・ライプチヒ(保険業界のシンクタンク)
                             http://www.versicherungsforen.net
研究の実行時期:2010年秋(福島事故より以前)
題名:

「原発の操業から発生する賠償責任リスクのカバーのための、リスクに見合った保険料の計算」

独語原文入手URL(全157頁, 10 MB):
http://www.bee-ev.de/_downloads/publikationen/studien/2011/110511_BEE-Studie_Versicherungsforen_KKW.pdf

*) 日本の「原子力損害の賠償に関する法律」の定める賠償措置額は、通常の商用原子炉の場合には1200億円。

**) 2011年の福島第一原発事故の被害金額の見積もりはまだ定かでないが、例えば、日本経済研究センターは、今後10年間で20兆円の処理費用がかかると試算している。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1292

2011年8月22日

 『賞を与える価値のある電力の反乱者たち
     - シェーナウ電力会社が国際的な環境賞を受賞』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年4月11日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

ドイツでは今でこそ、電力市場は完全に自由化され、一般世帯でも電力会社を自由に選択できるので、原発推進論者の世帯は原発電力を含む電力を、脱原発論者の世帯は原発電力を含まない自然電力をという具合に選択*)できるが、自由化(1999)の以前には、電力会社は地域独占の形を取っており、一般消費者には選択の自由がなかったので、原発電力を含んでいても、それを買わざるを得なかった。

チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)を受けて反原発運動が盛り上がる中で、ドイツでは電力会社の地域独占の足かせを住民投票で打ち破る自治体が現れた。シェーナウはその一例である。シェーナウ(正確には:Schönau im Schwarzwald)は南独フライブルクの近くの黒森と呼ばれる森林地帯の山間に広がる人口 2400 の小さな町である。この町では、住民投票の勝利(1991)と地域の配電インフラの買い取り(1996)により、町の領域内での原発電力を含まない自然電力の配電を達成した。さらに、電力の自由化(1999)の以降では、その配電の範囲を全ドイツに拡げ、現在では全ドイツの10万世帯に原発電力を含まない自然電力を提供している。

このパイオニア的な自然エネルギー事業が認められて、シェーナウ電力会社は、2011年4月11日にサンフランシスコで世界でも有数の環境賞であるゴールドマン環境賞を受賞した。この賞は、環境分野のノーベル賞とも呼ばれる。この受賞の機会にオバマ大統領と握手する同社の創立者で代表のスラーデク女史の写真は:

http://www.ews-schoenau.de/ews/pressemitteilung.html

 

同社のまとめた「原子力に反対する100個の十分な理由(日本語版、2011年8月)」:

http://100-gute-gruende.de/pdf/g100rs_jp.pdf


*) 電力会社の選択と変更は現在では、ネット上で非常に簡単に行える。従来の電力会社との契約の解約は、新しい電力会社が代行してくれる。消費者は新しい電力会社から送られてくる契約書にサインして送り返すだけでよい。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1296

2011年8月19日

『太陽が照らないときの助っ人 - GEがパリで新しいタイプの発電所を発表』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年5月26日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

 

“The Power of Flexibility”- このうたい文句でGEはその新しいタイプの発電所を宣伝する。それは、ガスタービンと蒸気タービンとを組み合わせた、高効率の複合サイクル発電(コンバインドサイクル発電 Combined Cycle Power Plant)である。これは近い将来に主役を演じるようになる再生可能エネルギー発電に照準を合わせて開発された技術だ。というのは、この発電方式の最大の特長は、立ち上げ・立ち下げの迅速さなのだ。それは太陽や風による発電出力の上下を平準化するのにもってこい! さらに、ガスタービン発電の廃熱で蒸気を作り、それで蒸気タービン発電をするので総合熱効率はなんと60%を超す(原発の熱効率は38%程度)。ドイツのシーメンスも同様のシステムを発表しており、GEと激しい競争を展開している。燃料としては、天然ガス、都市ガス、軽油等が利用可能。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1303

2011年8月17日

『スマート・ホームに住む - 電気モビリティを家庭の電力網に組み込むフィールド・テスト』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年5月16日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

エネルギー。将来に、太陽と風による発電の割合が増えると、ちょうど電力需要が大きい時間帯に風が吹いてくれるとは限らず、また太陽が照ってくれるとは限らないので、需要と供給の関係から、電力の価格はめまぐるしく変化するであろう。したがって、もっとも経済的に電力を消費するためには、一般家庭でもインテリジェントな電力消費の管理と新しい蓄電の設備が必要になる。その際に蓄電設備として重要な役割を果たすのが電気自動車だ。こういったシステムについて南ドイツのカールスルーエ工科大学で行われているフィールド・テストについて報告する。

原文2頁+訳文3頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1295

2011年8月12日

 『原発周辺の白血病リスクの上昇は有意
     -ドイツ、英国、スイスの原発周辺の子どものガンの研究』
     発行者:IPPNW(核戦争防止国際医師会議)*)ドイツ支部
     所載:IPPNW プレスリリース 2011年8月4日

     独文和訳資料提供サービス

 

原発の周辺に住む幼児は、白血病に罹るリスクが、原発の周辺に住まない幼児と比べて44%高い。このことをドイツの科学者アルフレート・ケルプライン博士は、今日発表されたメタアナリシス**)で証明した。

細胞分裂の盛んな幼児が低線量放射線に内部被曝すると白血病に罹るリスクがあるが、その低線量放射線が生じる機序は今まで不明だった。最近、その機序を解明する手懸りが得られたので、このプレスリリースはそれについても述べる。

いずれにせよ、これが正しければ、すべての原子力発電所は正常運転時でも周辺に住む幼児、胎児にとって危険ということになる。

*) IPPNWは、1985年にノーベル平和賞を受賞した。その詳細は:
http://nobelprize.org/nobel_prizes/peace/laureates/1985/physicians-history.html

**) メタアナリシス(meta-analysis)とは過去に行われた複数の研究結果-この場合には、過去に発表されたドイツ、英国、スイスの研究-を統合し、より信頼性の高い結果を求めること、またはそのための手法や統計解析のこと。メタ分析とも言う。

原文2頁+訳文3頁(A4サイズ)
資料番号 M-1332

2011年8月3日

『原子力発電所は正常運転時にも危険』
     発行者:IPPNW(核戦争防止国際医師会議)*)ドイツ支部
     所載:ファクトシート 2011年3月号

     独文和訳資料提供サービス

すべての原子力発電所は正常運転時にも放射性の物質を大気中および水中に放出する。これは、その量が規制値以下であれば、まったく合法的なことである。このファクトシートは、それにもかかわらず、次の2つの問題があることを指摘する:

1) 原発の近くに住む幼児は白血病に罹る率が高い(ドイツ連邦放射線保護庁(BfS)による KiKK Study, 2007 の結論)
この結果を生む機序は今まで不明だったが、最近、機序を解明する手懸りが得られた。このファクトシートは、BfS のデータにより、それを説明する。

2) トリチウムの問題
トリチウムは原発と使用済み核燃料の再処理工場から大気中および水中に放出されるが、それは酸素と結合してトリチウム水(HTO)となる。これをヒトが摂取すると、人体は普通の水とHTOとを区別できないので、体液の一部となり、全身の器官で低線量放射線内部被曝を惹き起こす。現在の規制値は低線量内部被曝の恐ろしさに十分対応していない。

これらが正しければ、原子力発電所は正常運転時にも危険ということになる。1)については、独英で、2)については英国で文献が発表された段階だが、今後、独英政府さらにはEU委員会がどのような判断を下すかが注目される。上記の文献のリスト付き。

*) IPPNWは、1985年にノーベル平和賞を受賞した。その詳細は:
http://nobelprize.org/nobel_prizes/peace/laureates/1985/physicians-history.html

原文2頁+訳文3頁(A4サイズ)
資料番号 M-1334

2011年7月30日

25年後にも新鮮 - チャールズ・ペロウ著:『事故は当たり前』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年3月28日放送
    番組名:試し刷り(Andruck)

    独文和訳資料提供サービス

 

システムの一つ一つの要素は個別には人間が支配しうるが、それらが同時に絡み合うと人間の支配が及ばなくなることがある、という状況で大事故は発生する。これは今から25年以上前に米国の当時イェール大学教授だったチャールズ・ペロウが、リスク社会学の立場から、原子力発電所、化学プラント、航空・宇宙飛行、原子兵器、遺伝子研究、貯水ダム、貨物船の事故を研究して導いた結論である。とくに原子力発電所の事故については、1979年に発生した3マイル島(TMI)原発事故の事故調査委員会の一員としての調査経験を基に詳細な検討結果を記述する。彼のその方法論は福島原発事故の解明にも応用できよう。この番組は、彼のリスク分析のコンセプトを分かりやすく説明する。原著データは次のとおり:

Normal Accidents(→『事故は当たり前』と仮訳する):
Living with High Risk Technologies
Charles Perrow
1984, 386 pp.
Princeton University Press
http://press.princeton.edu/titles/6596.html

なお、本書は今までに、ドイツ語、スペイン語、中国語に翻訳されているが、日本語訳はまだ出版されていない。

また、チャールズ・ペロウが福島原発事故について述べた論文は次のURLから無償で入手できる:
Fukushima, risk, and probability: Expect the unexpected
By Charles Perrow, April 1, 2011
http://www.thebulletin.org/web-edition/features/fukushima-risk-and-probability-expect-the-unexpected

チャールズ・ペロウのプロフィールと主な著作・論文のリストはイェール大学の次のサイトを参照:
http://www.yale.edu/sociology/faculty/pages/perrow/

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1333

2011年6月28日

プラグイン・ハイブリッド車が電気モビリティの時代を切り拓く
-連邦環境省の事務次官がVWゴルフ・ツイン・ドライブの実証試験をスタート
      ドイツ連邦環境省プレスリリース
      2011年6月28日付

      独文和訳資料提供サービス

連邦環境省の事務次官ウルズラ・ハイネン=エッサーは今日、ベルリンで、連邦環境省の助成するプロジェクト「電気モビリティの実証試験」の枠内で、20台のプラグイン・ハイブリッド車を用いた、1年間のフィールドテストのスタートの号砲を放った。車は、VWのゴルフ・ツイン・ドライブ(Golf twinDRIVE)で、これは電気モータと内燃機関を併せ持ち、そのLiイオン2次電池は家庭の普通の差込みで充電できる。

このVWゴルフ・ツイン・ドライブは、「U50車」というカテゴリーに分類される。これは“under 50cc per 1 km”、すなわち、kmあたりのCO2排出が 50cc 未満である。この「U50車」は、10年間は自動車税を免除され、また道路交通上さまざまの特権を享受できる。

今回のフィールドテストの大きな目的の一つは、再生可能エネルギー発電の割合の高いスマートグリッド(中国語:智能電網)の電圧の平準化のためにプラグイン・ハイブリッド車の蓄電機能を活用する試みである。これは、電力会社 E.ON とフラウンホーファ研究所などが担当する。この平準化は、ドイツ政府の目指す2022年までの脱原発達成のための再生可能エネルギー発電(現在、電力需要の17%を賄う)の大幅拡充のために欠かせない。ドイツ政府は2020年の電気自動車の利用を100万台と予定するので、その蓄電ポテンシャルを上記の意味の平準化のために活用しない手はない。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1314

2011年5月28日

メルケル首相宛の連名公開状「福島原発事故を受けてドイツは脱原発を急ぐべき」

     署名者: ドイツの自然科学、人文科学、社会科学の学者300余人
     2011年3月30日付

     独文和訳資料提供サービス

 

ドイツの自然科学、人文科学、社会科学の学者300余人は2011年3月30日付で「福島原発事故を受けてドイツは脱原発を急ぐべき」という内容の連名公開状をメルケル首相宛に送ったので、それを訳出、提供する。

その主な内容は次のとおり:
*「安全な原発」というものは過去にも未来にも物理的・技術的な理由からありえない。物理学のカオス理論によると、・・・。この考察には、地震・津波という言葉は登場しない。すなわち、原発の巨大なリスクは原発に本質的に内在するリスクである。事実、1957年のウィンズケール(英 = 数十人の周辺住民が死亡)から、2011年の福島に至るまで、世界ではほぼ10年おきに原発の深刻事故が発生してきた。
*そのように危険この上ない原発に固執する理由はまったくない。なぜならば、省エネの徹底と再生可能エネルギー発電の推進によって原発の代替は2020年あるいはそれ以前に技術的&経済的に十分に可能であるから。
*ドイツでは今まで、現在の電力ミックスから再生可能エネルギー100%に移行する《橋渡しの技術》として原発が必要と言われてきたが、それは誤り。なぜならば、原発の出力は柔軟に変化させ難いので、変化の激しい再生可能エネルギー発電を補うのには不適当。《橋渡しの技術》としてはむしろ、ガスを燃料とするコージェネが適当。ガスは天然ガスから出発して、徐々にバイオガスおよび・・・に移行すること。
*原発は、もしも《隠された税金による補助》がないとすれば、もっとも高価な発電方式である。それに対して、2050年までに100%再生可能エネルギー発電に切り替えるならば、国民経済的に累計で7500億ユーロ(~87兆円)のメリットが期待できる。
(*それ以外に3項目 → 訳文を参照。)

なお、この公開状は(物理学の博士号をもつ)メルケル首相宛だが、その内容は平明で、全国民に語りかけるもの。今までのところ、ドイツの原発村の御用学者たちは、どういう訳か沈黙を守っている。日本でも心ある学者や著名人が連名でこのような首相宛の公開状を発表したらよいのではなかろうか。御用学者のみなさんの公開状もぜひ拝見したいものだが。

原文2頁+訳文3頁+署名学者300余人のリストの独語原文5頁
資料番号 M-1302

2011年5月18日

3・11の福島原発事故を切っ掛けとして、ドイツ政府は脱原発を加速する方向に舵を切りました。そのためには短期的には、天然ガスなどの化石発電で、長期的には再生可能エネルギー発電によって原発を代替する予定ですが、そのためにドイツが本腰を入れている『再生可能エネルギー発電の出力平準化のための取り組み』に関する資料を2点、紹介いたします。

1. 独文和訳資料提供サービス
   『2億ユーロ(~230億円)でエネルギー貯蔵技術の開発を助成』
   ドイツ連邦環境省・連邦経済省・連邦研究省合同プレスリリース
   2011年5月18日付

連邦環境省、連邦経済省および連邦研究省は、エネルギー貯蔵技術の分野における研究と開発の推進のために合同のイニシアチブをスタートさせた。助成の告示は本日、連邦公報(Bundesanzeiger)に発表された。応募者はプロジェクト概略を即刻、しかし2011年7月8日までに提出することができる。

この助成イニシアチブの目的は、ドイツにおける再生可能エネルギーの建設を加速し、再生可能エネルギーを主要部分とするエネルギー供給システムを最適化することにある。ドイツの電力需要は、2050年には、その80%を再生可能エネルギー発電で賄う予定である*)。短時間の変動の平滑から、数ヵ月にわたる長期的な貯蔵にいたる多彩な技術によって、電力の供給を常時、電力の需要に一致させる必要がある。したがって、中長期的には、インテリジェントな負荷管理と新しい構造の電力網(スマートグリッド)と並んで、電力貯蔵技術の投入を強化することが、電力供給の信頼性を将来においても保証するために、必要不可欠である。

*) この2050年までに80%という目標は現在、なお検討中(望月注)。

連邦公報に発表された告示には、当該技術の例がリストアップされているので、それらを参考のために訳出する。リチウム電池技術など、日本の得意な技術もある。なお、リストアップされていない技術を提案することも可能なので、例えば、再生可能エネルギーから電解合成法等でエネルギーをアンモニア燃料に転換して貯蔵・輸送が自由にできる技術を提案してはどうか。

日本企業がこの助成を獲得するためには、連邦公報に発表された告示の第4項によると、ドイツ国内に居を置く日本企業の現地法人あるいは提携先のドイツ企業をとおして助成を申請すればよい。

原文3頁+訳文3頁(A4サイズ)
資料番号 M-1297

2. 英文資料紹介サービス
    タイトル:
   "VDE-Study: Energy storage in power supply systems with a
     high share of renewable energy sources"
    著者:
    Leonhard, W., Buenger, U., Crotogino, F., Gatzen, C.,
    Glaunsinger, W., Huebner, S., Kleinmaier, M., Koenemund, M.,
    Landinger, H., Lebioda, T., Sauer, D. U., Weber, H.,
    Wenzel, A., Wolf, E., Woyke, W., Zunft, S.
    発行元&年:
    VDE(社団法人ドイツ電気・電子・情報技術協会)、2008年

これはドイツ語原文の報告書の発行元による英語訳ですが、ハードコピー版を150ユーロ+送料実費で入手できますので、英語メールにて、次のアドレスにお申し込み下さい。申し込むと請求書を送って寄越しますので、代金を送金しますと、それが先方に入金次第、現品が発送されます。

Ms. Barbara Haas
VDE Verband der Elektrotechnik
Elektronik Informationstechnik e.V.
Stresemannallee 15
60596 Frankfurt/Main
Tel    +49 69 - 6308 - 449
Fax    +49 69 - 96 31 52 24
email: barbara.haas@vde.com

hp: http://www.vde.de/de/fg/ETG/Arbeitsgebiete/V1/Aktuelles/Oeffentlich/Seiten/Studie-Energiespeicher.aspx (上記英文報告書はこのhpの一番下で紹介されています。英文のアブストラクトあり。ここから注文できますが、注文のやりとりがドイツ語なので、ドイツ語に堪能でない方には難しいと思われます。そこで、VDEに問い合わせたところ、上記のように、英語メールによる注文を快諾していただきました。)

2011年2月28日

『核廃棄物処理諮問委員会(ESK)の新人事
   ドイツ連邦環境省プレスリリース
   2011年2月25日付

   独文和訳資料提供サービス

ドイツ政府の核廃棄物処理諮問委員会(ESK)は、2008年に設立され、その使命は核廃棄物の次の分野で連邦政府に助言を与えることである。
* 核廃棄物の最終処分
* 核廃棄物の準備処理、輸送、中間貯蔵
* 原子力施設のデコミッショニング(ドイツは脱原発路線なので、これは重要テーマ)

ESKの定款によると任期は3年なので、このほど、その新人事(留任と新規人事)をレトゲン連邦環境大臣が任命した。委員長のザイラー氏(エコ研究所)は留任である。

ESKのhp:
http://www.entsorgungskommission.de/
英語ボタンもあるので、関心のある方は訪問されたい。

なお、望月はドイツの核廃棄物処理についても、カールスルーエ再処理工場に関する連邦環境省の2011年2月7日付文書を入手するなどフォローしており、ご質問に対応できますので、ご照会下さい。

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1265

2011年2月14日

『オランダが脱原発路線を放棄して、新規原発の建設を計画』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年2月10日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

 

オランダには、かって、2つの商用原発があったが、現在は、南部のボルッセレ(Borssele)にある原発のみが稼動している(Siemens 製の加圧水型、操業開始 1973年、定格出力 482 MW)。米国3マイル島原発事故(Babcock & Wilcox製の加圧水型、1979年)をきっかけにオランダでも反原発運動が展開され、政府は脱原発の方針であった。
※ ボルッセレ原発の紹介ビデオ(冒頭に現地での反原発デモ):
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/c5/Kerncentrale_in_Borssele.ogv

または(中身は同一)

http://www.youtube.com/watch?v=_bOOglyI0qQ

しかし、2010年10月に発足した新政権は、脱原発路線を放棄して、新規原発を建設するという方針を決定した。計画によると、蘭仏コンソーシャムの建設する新規原発が2018年に操業開始の予定である。そこで、DLF の記者がオランダの現地に取材して、次の項目について報告する:

*新政権が脱原発を放棄して、新規原発を建設するという閣議決定に踏み切った理由
*今まで注力してきた再生可能エネルギー発電の助成をどうするか
*新規原発の建設に関するオランダ国民の世論調査結果
*野党の態度

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1253

2011年2月2日

環境問題諮問委員会(SRU: http://www.umweltrat.de/)は、ドイツの環境政策のために学者サイドからの政策助言を得ることを目的に設立された最初の機関である。それは連邦政府が 1971 年に設立した。
 
SRU の特長は、その学際性にある。SRU は、相異なる学問分野において環境問題を追究する7人の大学教授により構成される。それらの委員は連邦政府が4年任期で任命する。→ 委員プロフィール(英文):
 
SRU は鑑定書や見解書などを発表するが、そのテーマは SRU が自らの考えでその時々の環境政策にとって重要と判断するテーマであって、政府が与えるテーマではない。このようにして、SRU は、特定の政党や業界の利害に左右されることなく、ドイツ政府に環境問題に関して学際的に見て最善と考えられる助言を与えてきた。過去の発表は次のURLからダウンロードできる:http://www.umweltrat.de/cln_135/EN/Reports/reports_node.html
   
その SRU が 2011年1月26日に『100%再生可能エネルギー発電への道』というタイトルの特別鑑定書(全680頁)を連邦環境大臣レトゲン氏(上の写真左、右はSRU委員長のファオルシュティヒ教授)に手渡した。SRU は 2009年5月28日と2010年5月5日にすでに、2050年までに、ドイツの電力供給のために、化石発電と原発を徐々に廃止して、100%再生可能エネルギー発電に切り替えることは技術的ならびに経済的に可能とする意見書を発表したが、今回の鑑定書は経済性の検討を強化する。
 
すなわち、100%再生可能エネルギー発電を実現するに当たって、次の3つのケースについて経済性を比較する:
* ドイツ単独で実現。
* デンマークとノルウェーと協力して実現。
* 北アフリカを含むヨーロッパ規模の協力により実現。
 
比較の結論は、《デンマークとノルウェーと協力して実現》というオプションがもっとも経済的。しかし、どのオプションを選ぶにせよ、肝心なことは、2030年と2040年の間には、再生可能エネルギー発電のコストが非再生可能エネルギー発電のコストを下回るようになる(クロスオーバー)という予測である。そのグラフをこのお知らせの末尾に示す。
 
なお、SRU は、この目標達成のためには、並行して、省エネへの強力な取り組みと再生可能エネルギー発電の出力を平滑するための電力網(グリッド)と蓄電能力の整備拡充が不可欠とする。経済性のためには、これらの要素のバランスのとれた実現が必要である。
 
ドイツ政府は、現在の保守連立政権ですら、脱原発路線(新規原発の建設禁止を連立協定に明記)であり、原発を再生可能エネルギーへの「橋渡し」と位置づける。仮に3年後の総選挙で赤緑連立政権が発足すれば、脱原発路線のスピードをアップすることになろう。
 
その背景には、『国民の 85% は再生可能エネルギーへの徹底した乗り換えに賛成』という国民の意志がある(連邦政府報告書「ドイツ国民の環境意識 2010」の第5.1.1章 (p.43)、望月資料 M-1230 )。なお、現在、ドイツでは再生可能エネルギー産業の雇用者は 28万人を超えており、この数は原発産業の雇用者数の約10倍である(2010年の連邦議会資料 DS 17/799 のp.1)。
 
ということは、ドイツが《100%再生可能エネルギー発電への道》をまい進し、それを実現する可能性はかなり高いといえる。それに成功するならば、ドイツは、化石燃料とウラン燃料の枯渇後の時代のための電力分野での準備を完了することになる。
 
そのための技術とノウハウは世界中から求められるであろうから、ドイツにとってはそれは輸出のためのドル箱となるであろう。
 
この鑑定書の最終章「結論と推奨事項」(第10章)の英訳版(仮訳)は次のURLからダウンロードできる(全30頁、その表紙をこのお知らせの末尾に示す):
 
また、この鑑定書のドイツ語原本の要約版(全9頁)は:
 
この鑑定書のドイツ語原本の完全版(全680頁)は:
※ 全部で105個の興味深いグラフは辞書さえあれば解読できよう。なお、グラフの独文和訳をご希望でしたら、たとえその数が一つでも、対応させて頂きますので、ご一報ください。
 
SRU 特別鑑定書の概略は以上のとおりであるが、英語版を入手できない次の2つの関連資料を訳出、提供する:
 
1. ドイツ連邦環境省プレスリリース
    2011年1月26日付
    独文和訳資料提供サービス
 
このプレスリリースによって現政権がこの鑑定書の提案をどのように評価するかを窺い知ることができる。現政権は2010年9月に原発の操業期限を延長する 法案を国会通過させた*)が、この鑑定書は原発の操業期限延長は再生可能エネルギーの推進にとって有害無益であると言い切る点で、現政権に平手打ちを喰ら わせる。この不都合な点には触れない。
 
*) 法案は国会を通過したが、野党が憲法裁判所に提訴したために、係争中。
 
原文1頁+訳文1頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1245
 
2. 『原発という発電方式は持続可能的(sustainable)ではない』
    2011年1月26日に発表の SRU 特別鑑定書『100%再生可能エネルギー
    発電への道』の第2.4.2章(p.62-65)
    独文和訳資料提供サービス
 
特別鑑定書の第2.4章は「各種発電方式の持続可能性の評価」というタイトルであるが、その第2.4.2章は原発について持続可能性の評価を行い、原発は 持続可能的ではないと結論し、その理由を詳述する。なお、これに関しては、望月資料番号 M-1052 も参照。
⇒ http://www.mochizuki.de/1_idadid.php(“1052”で画面内検索)
 
原文4頁+訳文4頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1247
■このグラフによると、原子力発電と化石発電を含むコンベンショナルな発電(Konventionelle A + B、茶色と薄茶色、右肩上がり)のコストは、大略2030~2040年の間に、再生可能エネルギー発電のコスト(緑と黄緑、右肩下がり)よりも高くなる(クロスオーバー)。出典: 特別鑑定書、完全版のp. 275。
■この図は、再生可能エネルギー発電の電力を電力として直接利用するだけではなく、水と大気中のCO2からメタンを作るプロセスにも並行利用する構想。メタンなら貯蔵と輸送(図中で“SPEICHERUNG & TRANSPORT”と表記)が可能。これにより、風力では風のないときにも、太陽では夜間にも、発電が可能になる。また、サンベルト(例えば、日本の場合には、オーストラリアの砂漠)で太陽発電して、そのエネルギーをメタンとして日本までタンカーで輸送することも可能になろう。出典: 特別鑑定書、完全版のp. 224。

2011年1月12日

『24時間太陽 - セリウム酸化物からなる多孔質セラミックが太陽エネルギーの貯蔵と輸送を可能に』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2011年1月11日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

太陽エネルギーはクリーンで無尽蔵に存在する。地球上にふりそそぐ太陽エネルギーのうちで技術的に利用可能な分をフルに活用すれば、それだけで世界のエネルギーの総需要を楽々とまかなうことができる。しかし、それは持続的に利用可能でなく(∵昼夜&天候)、また地球表面上に均一に分布していない。そこで世界中の研究者は次の問題に取り組んでいる:「どのようにすれば、地球上でもっとも太陽光の強い地域(サンベルト)で太陽エネルギーを保存して、それをエネルギー需要の多い地域に輸送できるか。」

一つの可能性として、太陽光を化学的エネルギー・キャリア、とくに液体燃料の形に変換することができれば、それは保存することも、また輸送することもできる。この燃料は自動車や船や飛行機を駆動するだけでなく、化石燃料やウラン燃料の枯渇後の世界経済に持続可能の形でエネルギーを供給することができる。

上記の『変換』のための中核技術は、太陽光集光装置によって得られる高温とセリウム酸化物からなる多孔質セラミック触媒とにより、水から水素を、CO2からCOを得ることにある。ここで水素とCOはエネルギーの保存(= 輸送)にとくに適する。

このほど、米国、スイスおよびドイツの研究所の研究者がこの技術の共同開発に成功したので、その概要を紹介する。また、2010年12月24日にオンライン発表された論文入手のためのリンクを訳文脚注に記載する。

なお、太陽エネルギー(集光太陽熱)を化学的に変換する研究は東工大炭素循環エネルギー研究センターの玉浦研でも取り組んでいる。詳細:
http://www.chemistry.titech.ac.jp/~tamaura/tamaura/t_top.html

原文2頁+訳文2頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1239

2011年1月5日

『核廃棄物は無害化できるか』
    DLR エネルギー・ブログ(DLR:ドイツ航空宇宙センターは国立の
    研究所、英語名 German Aerospace Center)
    2010年11月15日付

  独文和訳資料提供サービス

2010年11月にEUは、ベルギーのモル(Mol)に世界初の研究用の核種変換(ある原子核を別の原子核に変換する)炉を建設することを決定した。この「ミラ・プロジェクト」の費用は1036億円相当で、操業開始は、2024年の予定。※ ミラ(Myrrha)はギリシャ神話で、アドニスの母。

原発で発生する高レベル放射性廃棄物には、半減期の長い長寿命核種(特に、マイナーアクチニド (MA) のネプツニウム、アメリシウム、キュリウムには、半減期が数万年に及ぶものがある)が含まれており、その安全な最終処分方法の開発が急務である。正確に言うと、今までは、安全な最終処分方法が存在しないにもかかわらず、原発を操業し続けてきたために、全世界で約30万トン(そのうち、人体にとって極めて有害なプルトニウムが約 2000トン = プルトニウム239の半減期は2万4千年)を超える量の高レベル放射性廃棄物が溜まっており、その量は右肩上がりで、2020年には44.5万トン(そのうち、プルトニウムが約 3000トン)になると予想される(情報源:IAEA, WNA, Isis)。

今回のEUの決定は、ノーベル物理学賞を受賞したカルロ・ルビアが1980年代の後半に提案した、加速器駆動未臨界炉でマイナーアクチニドに中性子を照射して核分裂させ、すべて短半減期の同位体に核種変換(消滅処理)する方法「ルビアトロン」の実用化を目指す。

原発からの核廃棄物をルビアトロンで処理する場合の原発発電電力の価格と再生可能エネルギー発電電力の価格との比較にも言及(経済性の問題)。

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1235

2010年12月21日

『原発は将来のための解決策として不適切』
     報告書「ドイツ国民の環境意識 2010」の第5.1.2章(p.45)
     発表者:連邦環境庁(UBA)
     発表日:2010年12月16日

     独文和訳資料提供サービス

2010年の意識調査では、ドイツ国民の 77% は脱原発に賛成であり、脱原発に反対の 11% を圧倒的に上回る。この数字を知ると、現連立政権のレトゲン環境相が、「原子力エネルギーはいずれ再生可能エネルギーで代替されるべきであり、その代替が完了するまでの橋渡しの技術にすぎない。なぜならば、数十年来、ドイツ社会が原子力エネルギーを受け容れていないからです。」と述べる理由を理解できる。

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1229

 

脱原発を目指すためには、代替となる電力源が必要である。ドイツ国民は何を代替電力源と考えているのであろうか。それを示すのが次の調査結果である。

2010年12月21日
『国民の 85% は再生可能エネルギーへの徹底した乗り換えに賛成』
     報告書「ドイツ国民の環境意識 2010」の第5.1.1章(p.43)
     発表者:連邦環境庁(UBA)
     発表日:2010年12月16日

     独文和訳資料提供サービス

原文1頁+訳文1頁(A4サイズ)
資料番号 M-1230

2010年12月16日

   『ノルウェーで世界初の浸透圧発電の試作機が操業中』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2010年12月13日放送
    番組名:今話題の研究(Forschung aktuell)

    独文和訳資料提供サービス

 

再生可能エネルギー発電のうちで、風力と太陽エネルギーによる発電は出力が天候に左右される。そこで天候に左右されない再生可能エネルギー発電として登場したのが「浸透圧発電」である。淡水と海水を浸透膜で隔てると塩分濃度が均一に近付くよう淡水が海水側に移動するが、その淡水の移動でタービンを回して発電する。

ノルウェーのオスロ・フィヨルドで世界初の浸透圧発電の試作機が、2009年11月から現在まで順調に操業中なので、その模様を報告する。

浸透圧発電の世界規模での発電能力の予測についても具体的な数字を述べる。なお、淡水の取水量については環境保全のために十分な制限が必要である。

この方式では、淡水と海水を必要とすることから、立地場所は河川の河口付近となる。日本はぐるりを海に囲まれていることと河川の数が多いことから、大きな可能性がある。

なお、ノルウェーの試作機では、浸透膜一平米あたりの発電能力は1ワットだが、浸透圧発電の原価に競争力を持たせるには、これを5ワットにする必要があるといわれる。日本のポリマ合成技術がこの要求を満たす浸透膜の開発に成功するならば、大きな売上を期待できよう。

原文2頁+訳文3頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1226

2010年11月25日

  『ドイツの核廃棄物処分場アッセの周辺住民に明確に高い発ガン率』
    報道メディア:ドイツの公営TV局NDR
    放映日:2010年11月25日

北ドイツのアッセ(Asse)の岩塩廃坑には、低放射性廃棄物入りのドラム缶が 125,787 本、中程度放射性廃棄物入りのドラム缶が16,100 本が貯蔵されているが、そこに地下水が浸入し、多数のドラム缶が腐食し、中身が漏出している。これらのドラム缶のすべてを、約40億ユーロ(~4440億円)の費用をかけて回収することが決まっている。

NDRのニュースによると、アッセの周辺住民のガン発症が目立って多いことが判明した。男性の白血病の発症率は通常の約2倍、女性の甲状腺ガンの発症率は通常の約3倍にのぼる、とのことである。アッセはニーダーザクセン州にあるが、同州の環境省が2002年から2009年の間にこのような事実があったことを確認している。これ関係のNDRの報道内容は次のリンクを参照:

http://www.ndr.de/regional/niedersachsen/harz/asse533.html

原文2頁+訳文2頁(A4サイズ)
資料番号 M-1219

2010年11月10日

『2020年までの欧州のエネルギー戦略』

     英文資料紹介サービス

 

欧州連合(EU)のエネルギー委員(大臣に相当)を務めるのは現在、ドイツ人のギュンター・エッティンガーである。彼は2010年11月10日に『2020年までの欧州のエネルギー戦略』という文書を発表した。その英語原文および関連資料など合計4種類のファイルは次のEU委員会のリンクからダウンロードできる:

http://ec.europa.eu/energy/strategies/2010/2020_en.htm

 

この発表に関する関係各界の反響については、例えば、次記の“POSITIONS”を参照:

http://www.euractiv.com/en/energy/commission-unveil-1trln-energy-strategy-2020-news-499502。

2010年10月6日

 『私の脱原発』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2010年9月17日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

    独文和訳資料提供サービス

ドイツの電力市場は完全に自由化されているので、きわめて多数の電力会社が地域の枠に関係なく客を求めて競い合っている。ドイツの消費者は自分の消費する電力を非常に多くの電力会社が提供する多数の「電力商品」の中から自由に選択できる。電力商品の数は消費者の住所によって若干ことなるが、現在のところ、約125くらいある。

ネット上には電力商品を選ぶためのサイトがたくさんあり、消費者が自分の郵便番号、年間の消費電力(kWh)および個人ユーザか企業ユーザかを入力すると、電力商品が価格の安い順にリストアップされる。消費者は、それを見て、選択した電力商品をクリックすればそれを提供する電力会社から契約書が郵送され、それに記入・署名して送り返せば、今までの電力会社の解約は新しい電力会社が片付けてくれるという仕組みである。したがって、消費者は、いとも簡単に電力会社を乗り換えることができる。

電力商品の価格順のリストアップにおいては、電力商品がエコ電力(再生可能エネルギー電力だけであり、化石燃料電力と原発電力は含まない)であるか、または非エコ電力(化石燃料電力または原発電力を含む)であるかが明示されている。電力商品をクリックすると、どのエネルギー源で発電した電力であるかが円グラフで示され、またその電力商品のkWh あたりのCO2排出量(g)と kWh あたりの核廃棄物発生量(g)が明示される。

※ 円グラフは下のURLの一番下のドイツ語見出し:Stromquelle = 電力源の処に載っている。
エコ電力の円グラフ例:
http://www.verivox.de/power/tariffs.aspx?id=268441&plz=50677&usage=4000&customer=1&plocation=
非エコ電力の円グラフ例:
http://www.verivox.de/power/tariffs.aspx?id=265695&plz=50677&usage=4000&customer=1&plocation=

このような仕組みになっているので、脱原発を主張する政党や環境保護団体は、消費者が『私の脱原発』を実行するように呼びかけている。すなわち、今まで非エコ電力を購入してきた消費者がエコ電力に乗り換えるようにという呼びかけである。すべての消費者がエコ電力に乗り換えるならば、原発電力を提供する電力会社は売上がゼロになるという訳である。消費者センター(所管:連邦消費者保護省)、エコ研究所フライブルクとWWFはとくにこの目的のために便利な比較サイトとして:

http://www.energie-vision.de

を提供している。このサイトによる検索例を添付するが、そこで興味深いのは、多くの場合に、非エコ電力よりも安価なエコ電力を購入できるという点である。この事実はドイツの消費者にも十分に知られていないが、これが知りわたれば、エコ電力への乗換えが雪崩を打つものと予想される。なぜならば、世論調査の結果によると、ドイツ国民の 2/3 は原発反対だが、エコ電力を契約する国民は現在、5% に過ぎないからである。

なお、きわめて多数に上るエコ電力商品の中には内容のいかがわしい商品も見られるために、消費者に優良エコ電力商品であることを示す商品ラベルとして「グリーン電力ラベル」および「OKパワー」が消費者の正しい選択を助けている。

原文2頁+訳文2頁+添付資料1頁(いずれもA4サイズ)
資料番号 M-1205

2010年6月20日

連邦政府回答書:MOX燃料の輸送、貯蔵および使用における安全性』をアップしました。

    発行者:ドイツ連邦政府
    質問者:ドイツ左派党(DIE LINKE)
    回答者:ドイツ連邦環境省

    発行日:2010年4月8日

    独文和訳提供サービス

 

日本では、軽水炉という種類の原子炉で濃縮ウランの代わりにMOX燃料を使用するプルサーマル計画は、当初予定より も十年以上遅れており、営業運転に入っているのは、玄海原発3号機(九州電力、2009年12月2日より)と伊方原発3号機(四国電力、2010年3月 30日より)に過ぎない。それに対して、欧州諸国では1960年代からプルサーマルの実績がある。ドイツでは、2008年末の時点で、全部で17ある原発 のうちの7つの原発でプルサーマルの営業運転が行われている。また、プルサーマルの営業運転の認可を受けた原発は11ある。

この原発のプルサーマル運転をめぐる安全性に関して全部で33の質問にドイツ連邦環境省が書面で回答したので、それを訳出、提供する。ドイツのプルサーマ ルの営業運転の実態が浮かび上がる内容である。

おもな質問内容(抜粋)は次のとおり:
*MOX燃料の輸送容器の安全性基準、輸送中の安全確保。
*プルサーマル操業中の安全確保。
*ドイツで年間に生成するプルトニウムの量とそのうちで分裂可能なプルトニウムの割合。
*ドイツの原子炉で今日までに生成したプルトニウムの量の累積値とそのうちで再処理によって分離された量ならびにそのうちでMOX燃料に加工されたプルト ニウムの量ならびにそのうちで原子炉で使用された量(2000-2008)。
*直接の最終貯蔵を予定しないプルトニウムは将来、どうするのかそしてその量は。
*ドイツの原発から由来して再処理された原子炉プルトニウムはすべてドイツの原発で使用されるのか、それとも売却分ないしは買取分があるのか。
*どれだけの量のMOX燃料が将来、ドイツの原発で利用される予定か、その目的のためのMOX燃料の製造契約の実態。
*EURATOM契約の加盟国に存在するMOX燃料の製造プラントとその製造能力。
*ドイツの原発毎にどれだけの量のMOX燃料の使用認可が下りているか、また原発毎にどれだけの量のMOX燃料が実際に使用されているか。
*それ以外にMOX燃料の使用を申請している原発があるか。
*ドイツの原発で燃料の照射により生成し、再処理により使用済みの燃料から分離され、ドイツの国外で貯蔵されているプルトニウムの量。
*ドイツの原発由来のプルトニウムはどの国にどれだけの量が貯蔵されているか。
*ドイツに貯蔵されている、分離されたプルトニウムの総量。そのうちで、照射されていないMOX燃料に含まれる量。
*ドイツで国家が保管するプルトニウムの量とそのアイソトープの組成。
*ドイツで現在までに再処理技術およびMOX燃料の製造技術の開発に投資された州政府および連邦政府の資金の総額。
*軽水炉で使用するためのMOX燃料の現在の価格。それと比較すべき、濃縮ウランから製造した核燃料の価格。
*MOX燃料は大量生産により価格を下げることが可能か。
*MOX燃料の使用はどのようなコストの増加を引き起こすか(例えば、より長い貯蔵期間ならびにより大きな貯蔵場所の必要性)。
※ なお、訳文では抜粋ではなく、33の質問のすべてを訳出する。

原文9頁+訳文10頁
資料番号 M-1192

2010年3月14日

   『オートリブで環境にもっとやさしく
        パリ市の貸し電気自動車システム計画の概要』
   ドイツの国営ラジオ放送 DLF
   2010年3月11日放送
   番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

   独文和訳資料提供サービス


オートリブは合成語である。オートはフランス語の automobile の頭で「自動車」の意味。リブはフランス語の liberté の頭で「自由」の意味。パリ市は二年半前に貸し自転車システム「ベリブ」を導入して大成功を収めた(べはフランス語の vélo の頭で「自転車」の意味)。今では、2万台の自転車が住民と旅行者に「足」を提供している。この成功に勢いづいたパリのドラノエ市長は排気ガスを出さない電気自動車で類似のシステムを2011年秋からスタートするべく準備中である。キャッチフレーズは「買い物にはメトロ(地下鉄)で出掛け、(買った品物を運ばなければならない)帰路はオートリブで」。その概要を紹介する。

原文2頁+訳文2頁
資料番号 M-1187

2010年3月2日

『新しい巨大プロジェクト - ヨーロッパは再生可能エネルギーの拡充に注力』
   ドイツの国営ラジオ放送 DLF
   2010年1月5日放送
   番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)
   独文和訳資料提供サービス

 

EUでは温暖化対策とエネルギー問題を不可分のテーマとしており、「EU気候&エネルギー・パッケージ」という名の政策を実行している: The EU climate and energy package
http://ec.europa.eu/environment/climat/climate_action.htm

この政策の根幹を成すのは「EUの20-20-20ターゲット」という目標で、2020年までに:
1)EUとしての温暖化ガス排出量を1990年比で20%削減する、
2)EUのエネルギー消費の20%を再生可能エネルギーで賄う、
3)省エネにより、一次エネルギーの消費量を20%削減する
ことを目指す。

このうちで再生可能エネルギーの拡充については、上記目標2)を達成するために、加盟各国が実現すべき%値を指令2009/28/ECで定める(最低はマルタの10%、最大はスウェーデンの49%)。

このような背景の下に、EU27ヵ国のうちの北海に面する8ヵ国(イギリス、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、デンマーク、アイルランド)とEU非加盟国のノルウェーが再生可能エネルギー(主に風力)発電の電力を融通し合うことで意見が一致し、そのために北海の海底に送電損失の少ない直流高圧送電のケーブル網を敷設することになった。その費用は300億ユーロ ~ 4兆円と見積もられる。これによって、北はノルウェーの北端から南はフランスの南端まで4500kmのサイズの仮想的発電所が形成され、それによって再生可能エネルギー発電の最大の弱点である出力の不安定性が緩和される。ちなみに、北海道の最北端から九州本島の最南端までは約3000km。なお、これら9ヵ国で再生可能エネルギー発電の電力が余るときには、ノルウェーのフィヨルドに数多い揚水発電所でポテンシャル・エネルギーとして電力を蓄える。

原文2頁+訳文2頁
資料番号 M-1174

2010年2月15日

 『将来の名は再生可能エネルギー - レトゲン環境相がベルリンのフンボルト大学で講演』
   ドイツの国営ラジオ放送 DLF
   2010年2月12日放送
   番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

   独文和訳資料提供サービス

 

保守連立政権の環境大臣としては彼はおどろくほどグリーンにふるまう。連邦環境相ノルベルト・レトゲンは彼の前任者(複数)と同様に再生可能エネルギーの勝利を信ずる。

連邦環境相がベルリンのフンボルト大学で環境政策の基本線について講演することは恒例となっているが、2010年2月11日にレトゲン環境相がそれを行ったので、その要旨をまとめる。その中で彼は、二つの理由から再生可能エネルギー発電と原発の並存は好ましくなく、どちらか一つに絞るべきこと、その際にドイツは再生可能エネルギー発電の方を選ぶべきことを述べる。

これら二つの理由が正しいとすれば、原発推進を国是とする日本が再生可能エネルギー発電を極力、抑制してきたのは正しい政策ということになり、将来も再生可能エネルギーはせいぜいおもちゃ程度の小型風車などで御茶を濁すべきことになる。

原文2頁+訳文2頁
資料番号 M-1180

2010年2月11日

 『我々は原発の代替を欲する-ドイツのレトゲン環境相との対話』
    発表場所: ノルベルト・レトゲン公式ホームページ
    http://www.norbert-roettgen.de/content/view/438/65/
    発表日:2010年2月6日

  独文和訳資料提供サービス

ドイツでは昨秋に発足した保守連立政権(CDU+FDP)が、原発の新設禁止は維持するが、操業期間の延長を解禁する方針を打ち出したため(連立合意書=資料 M-1163)、原発操業期間の延長が議論の焦点となっているが、この対話でレトゲン環境相(政党:CDU)は操業期間の具体的な上限年数を提案する。さらに、ドイツのエネルギー政策の出発点はあくまで、2050年までに温暖化ガス排出を80~90%削減することにある(世界でも最高レベルの削減%!)が、そのための切り札は再生可能エネルギー発電であって、原発ではないことを明言する。ドイツは今後、再生可能エネルギー発電(現在、電力総需要の16%)を大幅に増やし、それによって原発(同、現在23%)を代替する。すなわち、再生可能エネルギー発電が40%に達した時点に脱原発が完了する(23+16=39)。つまり、原発はそれまでの橋渡し技術(bridging technology)に過ぎないという位置づけである。

レトゲン環境相のこの『脱原発宣言』に連立与党CDUは百家争鳴の状態になったが、それを見極めた上で、党首のメルケル首相がレトゲン環境相を支持するとの鶴の一声を発して論争にけりをつけた。もっとも、このように重大な発言については環境相と首相との間に事前の了解があったと推測するのは筆者だけではあるまい。

この資料によって温暖化対策のためには原発推進という短絡思考をはっきりと否定するドイツ流のロジックを知ることができる。

原文3頁+訳文3頁
資料番号 M-1179

2010年2月1日

『核廃棄物の最終貯蔵場がないのに原発の操業期間を延長することは、ドイツ憲法に違反』
    ドイツの国営ラジオ放送 DLF
    2010年1月28日放送
    番組名:環境と消費者(Umwelt und Verbraucher)

  独文和訳資料提供サービス

ドイツ環境援助協会(http://www.duh.de/)という団体が、原発の操業期間を延長することは、ドイツ憲法に違反するという法律家の鑑定書を発表した。詳しくいうと、『核廃棄物の最終貯蔵場がないのに原発の操業期間を延長することは、国民のためにリスクを予防し、国民をリスクから保護することを国の役割と定めるドイツ憲法に違反する』と結論した。この番組では、鑑定書の著者のツィーム博士および環境援助協会代表のバーケ氏とのインタヴューにより、鑑定書の意味を明らかにする。ドイツでは昨秋に発足した保守連立政権が、原発の新設禁止は維持するが、操業期間の延長は解禁する方針を打ち出したため(資料 M-1163)、原発操業期間の延長が議論の焦点となっている。

原文2頁+訳文2頁
資料番号 M-1178

2010年1月12日

核廃棄物の悪夢 仏語原題: Déchets, le cauchemar du nucléaire 

   仏独英語DVD紹介サービス

   発売日:2009年10月6日

   制作:Éric Guéret

   基礎調査:Laure Noualhat と Éric Guéret

   上映時間:98分

   発行元:ARTE Éditions(フランス)

   方式:PAL(全ゾーン)

   言語:仏独(選択可能)

   字幕:英語を選択可能

   フランスでの販売価格: 15 EUR

   送付先として“Japon”(日本)も選択可能

 

グリーンピースのゴムボートによる体当たりの抗議活動がきっかけとなって国連が1993年に禁止決議するまでは、原子力発電(原発)を利用する世界中の国々(米露中英独仏日を含む)が原発で発生する核廃棄物を海中投棄していたことはあまり知られていない。このDVDは最終処分問題を含む核廃棄物の諸問題を綿密な調査に基づいて解明し、きわめて分かりやすい形で提供する。なお、ARTEは独仏政府が共同で設立した公営TV局。

 

入手は発行元のARTE BOUTIQUEからクレジットカードによる支払いで可能である。そのやり方は次のとおり。

①まず、次のリンクをクリック:

http://www.arte.tv/fr/Comprendre-le-monde/Dechets--le-cauchemar-du-nucleaire/Le-DVD---le-livre/2841342.html (このサイトの言語は独仏語のみ)

②この頁の下にある“POUR ACHETER LE DVD”(DVDを買う)をクリック。

③現れる頁の右上の“ajouter au panier”(カゴに入れる)をクリック。

④現れる頁の納入先の国として“JAPON”を選択。これで送料も含むトータル価格が30.54 EURと表示される。

⑤“terminer ma commande”(買い物を終了する)をクリック。

⑥このショップがはじめての方は“m'inscrire”をクリックして、住所、氏名、メールアドレスなどの個人データを入力し、“valider”をクリック。

⑦クレジットカードのデータを入力。

2009年6月17日

  『環境大臣がサハラ砂漠 CSP 発電に関する企業のイニシアティブを歓迎』
   ドイツ連邦環境省プレスリリース
   発表:2009年6月16日

   独文和訳資料提供サービス


サハラ砂漠で集光型太陽熱発電(CSP)した電力をドイツへ供給するという DESERTEC プロジェクトのために、このほど、ドイツを代表する20の大企業がコンソーシャムを組み、総額で 4000 億ユーロ(~54兆円)の投資を意味するプロジェクトを立ち上げることが決まった。

ドイツのガブリエル環境相がこの企業のイニシアティブを歓迎し、政府として最大限の協力を約束する。とくに、多くの国を縦断する送電に関して解決するべき法律的な問題は「地中海ユニオン」(沿岸諸国で作る連合) http://www.desertec.org/downloads/solarplan.pdf
の枠内で解決する意向を表明する。

原文1頁+訳文1頁、
資料番号 M-1146

2009年5月13日

 『ガブリエル連邦環境相:原子力業界はパニックの雰囲気 - ドイツ原子力フォーラムの自称の「電力の空白」に関する警告について連邦環境相が声明を発表』
   ドイツ連邦環境省プレスリリース
   発表:2009年5月11日

   独文和訳資料提供サービス

「原子力発電がなければ明かりが消える」というのは、原発ロビーのもっとも古い宣伝用作り話の一つである。彼らの最新の作り話は、「原子力発電がなければ我々は気候保全目標を達成できない」。事実は次のとおり:「ドイツには電力の空白など存在せず、気候保全のために原子力発電は何の役割も果たさない」。

今秋(2009年9月)に総選挙(注:ドイツでは4年ごと)が控えるドイツでは、過去2回の総選挙で連続して、原発推進派の政権を擁立できなかった原子力業界が作り話によって国民の間に不安を煽って、国民の支持を引き寄せようと必死である。

このプレスリリースは、そうした作り話が根も葉もないものであることを明らかにし、ドイツ原発ロビーの支離滅裂な論理を鋭く告発する。

原文1頁+訳文1頁、
資料番号 M-1142

 

2009年5月13日

 『世論調査の結果:過半数が原発を拒否 - 国民の 2/3 は脱原発決定の維持またはそれどころか脱原発の加速を支持』
   ドイツ連邦環境省プレスリリース
   発表:2009年4月24日

   独文和訳資料提供サービス

ドイツの代表的な世論調査会社である FORSA が連邦環境省の委託で、2009年4月20~22日にドイツ国民 1008 人を対象に行った、原子力発電(原発)に関する世論調査の結果を紹介する。

ドイツでは、2000年6月に政府と電力業界が、32 年の歳月をかけて原発を廃止することに合意し、それを 2002年4月の原子力法の改定により成文化した。ドイツ政府は、これを前倒しして、2022年までに脱原発を完了するための具体的な計画「エネルギー政策ロードマップ2020」を 2009年1月に発表し、国を挙げてその実現に取り組んでいる。

ドイツ政府は、この脱原発に関する国民の世論調査を繰り返し実行しているが、脱原発決定の維持または脱原発の加速を支持する国民の割合は、 2006年8月の 62% が、2009年4月の今回調査では 66% に上昇したことが判明した。今回調査のそれ以外の複数の結果をも紹介する。
また、今回調査結果に関するガブリエル連邦環境相のコメントも紹介する。

原文1頁+訳文1頁、
資料番号 M-1140

2009年2月19日

 『太陽熱発電所と原子力発電所の建設費用比較計算』
   報告者:望月浩二
   報告日付:2009年2月18日

   日本語報告書提供サービス

 

米国ではオバマ新大統領の環境政策が注目されているが、それとは関係なく、カリフォルニア州は伝統的に環境規制が厳しいことで知られており、再生可能エネルギーの利用割合に関する基準も厳しく、電力会社は来年までに発電量の20%を再生可能なエネルギー源で賄わなければならい。(ちなみに、日本もRPS法という法律が同様の割合を定めるが、その値は2010年: 1.35%、2014年:1.63%と消極的)。

これを受けて同州南部最大の電力会社である南カリフォルニア・エジソン社はこのほど(2009/2/11)、発電能力の合計(9100 MW)が現在世界最大の原発である柏崎刈羽原発の能力(8210 MW)を上回る巨大な太陽熱発電所建設の契約にサインした。これは太陽光発電(PV)ではなく、集光型太陽熱発電 (CSP)である。受注したのはイスラエルのBrightSource Energy社。これ関係の情報は次のリンクを参照:
http://www.sce.com/Feature/solardeal.htm?from=homepage
http://www.brightsourceenergy.com/BSE_SCE_Final_020909.pdf

これを機会に、CSP発電所と原子力発電所の建設費用の比較計算を行ったので、その結果を報告書にまとめる。CSP発電所としては南カリフォルニア・エジソン社の上記プラントの建設費用データが入手できない(現在、照会中)ので、2008/10 に南スペインのグラナダ郊外で操業を開始した ANDASOL 1 のデータを用いる。また、原発の建設費用データとしては、2009/12 に操業開始予定の北海道電力泊原発のデータを用いる。なお、計算は結果を出すことを主目的に大幅な単純化を行って計算する。

日本語報告書、全2頁
資料番号 M-1136

2008年12月3日

“Nuclear Power in France - Beyond the Myth”

   著者:マイケル・シュナイダー(Mycle Schneider)

   発表: 2008年12月2日

   英文・仏文資料紹介サービス

   頁数:41ページ(英文)、43ページ(仏文)

 

この資料にはダウンロードは自由と明言されているので、ダウンロードのためのリンクを記す。

※リンクをクリックしてもダウンロードできない場合には、リンクをカット&ペーストでブラウザに貼り込めばダウンロードできます。

英語版:http://www.greens-efa.org/cms/topics/dokbin/258/258614.mythbuster@en.pdf

フランス語版:http://www.greens-efa.org/cms/topics/dokbin/259/259489.mythbuster@en.pdf

2008年11月24日

『“DESERTEC”プロジェクト
    -サハラ砂漠で太陽熱発電した電力を欧州に供給
   第一報:サハラ砂漠の太陽熱発電(CSP)能力の計算』

   発表者:ドイツ宇宙航空技術センター(www.DLR.de)の
             応用熱力学研究所
     発表日:2008年6月27日

   英文和訳資料提供サービス

 

■ ヨーロッパのエネルギー問題の解決策として、サハラ砂漠に太陽熱発電機を並べるという計画“DESERTEC”が進行している。太陽電池発電(Photovoltaic = PV)ではなくて、太陽熱を鏡で集めて水を沸騰させてタービンを回すという太陽熱発電(Concentrating Solar Thermal Power = CSP)である。このやり方のメリットは、日中に高温の熔融塩(600℃)を作って、夜間にも発電できる点にある。サハラ砂漠からヨーロッパまでは損失の少ない直流送電で電気を送る。この壮大なプロジェクトの詳細は:http://www.desertec.org/index.html を参照。欧州では独英仏蘭および西伊希土などの地中海岸諸国、さらにはサハラ砂漠の諸国が連携して進めている。

■ 興味深いのは、控えめの計算の結果でも、欧州全体の電力需要を発電するためには、サハラ砂漠のごくごく一部の面積をこのプラントに当てれば十分という点である。その様子は、次のサハラ砂漠の地図に描かれた赤い四角形が示す:http://www.desertec.org/fullneed.html

■ これは、欧州全体の電力需要を発電するためには、“EU”と書かれた四角形の面積(サハラ砂漠全面積の 0.17%)で、ドイツの電力需要を発電するためには、“MENA”と書かれた四角形の面積(同 0.025%)で十分という意味である。サハラ砂漠の大きさと比べると無視できるほど小さな四角形である。なお、この地図には“World”と書かれた四角形も載っているが、これは参考までに世界の電力需要を発電するための四角形(同 0.75%)。サハラ砂漠から全世界に電力を送電することは不可能なので、これはあくまでも参考に過ぎない。それにしても、この大きさの四角形で世界の電力需要を発電できるというのは驚くべきことである。

■ もしも地球上の砂漠の全面積(総面積 3600万 km2)にCSP発電プラントを敷設するならば、世界の電力需要の480倍の電力を発電できると計算される。“DESERTEC”は世界中の砂漠をもつ諸国に輪を広げつつあるが、次の各国のhpも、砂漠 CSP 発電の巨大な発電能力に言及している:
    http://www.desertec-india.org.in/
    http://www.desertec-australia.org/
    http://www.desertec-iran.org/
イランのhpには次の標語が見られる:

Every year, each square kilometre of desert receives solar
energy equivalent to 1.5 million barrels of oil.

■ このプロジェクトに関する第一報として、上記の四角形の面積計算の根拠を訳出する。これは公表されていないが、DLR の好意で入手した。なお、CSP発電のコスト計算に関する文献のリンクも記載する。

英語原文、全4頁+日本語訳文、全4頁
資料番号 M-1120

2008年10月13日

『ドイツ連邦環境省プレスリリース:原子力発電所の近所に住む子どものガン発症率に関する研究結果の再検討結果』

発表日:2008年10月9日

独文和訳資料提供サービス

 

2007年12月にドイツ放射線保護庁BfSが、23年間にわたる統計データを基にした、原発の近所における子どものガン発症に関する疫学的研究、略称KiKK報告書を発表したが、「原発の立地場所の周辺では5歳以下の子どもの白血病に罹るリスクが高くなる」というこの報告書の中心的な結論の重大さと結論を導く方法が純粋に統計的であったために、連邦環境省はBfSとは別の機関である放射線保護委員会SSKにこの報告書の内容を再検討するように依頼した(望月資料 M-1059 → 下記参照)。予定どおり、9ヵ月間の検討を経て、2008年9月26日にSSKは再検討の報告書を決議した。これを受けて連邦環境省は2008年10月9日にプレスリリースを発表した。

連邦環境省プレスリリース(No. 219/08):
①原発の立地場所から半径5km以内に住む、5歳以下の子どもは白血病を発症する確率が有意に高いという、KiKK報告書の結論は正しい。
②原発のつくりだす放射線への曝露によっては①の結論は説明できない。したがって、①の結論の原因解明は今後の研究課題である。

この結論を受けたドイツ連邦政府の対策について述べる。また、原発周辺の子どもの白血病発症増加の原因に関する世界中の研究努力についても述べる。ちなみに、グーグル検索によるかぎりでは、本件は日本のメディアは一切、報道していない。下の望月資料 M-1059 の情報は、東京新聞と時事通信だけが報道した。

ドイツ語原文、全1頁+日本語訳文、全2頁
資料番号 M-1109

2008年8月17日

『原子力発電所の操業寿命の延長は問題を先送りするだけ』

発表者:アンドレアス・トローゲ(ドイツ連邦環境庁(UBA)長官)
発表:2005年8月
所載:ドイツの政党 SPD の論文集「脱原発」(党の大方針としての脱原発を理論付ける36論文からなる、全120頁)


ドイツの現在の連立政権は CDU(キリスト教民主同盟)と SPD(ドイツ社会民主党)が連立を組む。そのうちの SPD は党の大方針として脱原発を掲げているが、CDU は党としての基本姿勢を明らかにしていないものの、大方は原発推進派と見られている。そのような CDU の党員としては珍しく、テプファー前環境大臣(望月資料 M-1098)とこの UBA のトローゲ長官は脱原発派の論客として知られる。今回訳出するトローゲ長官の論文は彼の脱原発の根拠を簡潔に記述する。この論文の出だしの文章は次のとおり:『まず最初はだれしもこう考える:既存の原発の操業寿命を延長することは気候保全のためになると。これはしかし短絡思考に過ぎない。なぜならば...。』
この論文の3つの段落のタイトルは次のとおり:
*原発の操業寿命延長は革新的なエネルギー技術を妨げる。
*未来はネットワーク化されたエネルギー・システムのもの。
*放射性の廃棄物を次の世代(複数)に残さない。

ドイツ語原文、全2頁+日本語訳文、全2頁
資料番号 M-1101

 

※ トラオベ博士(カルカーの高速増殖炉の開発と建設の最高責任者)によるドイツの政党 SPD の論文集「脱原発」の巻頭基調論文(訳文全15頁)も資料番号 M-1010 として即納できます。

2008年7月21日

『バイエルンの森はキノコ狩りとノイチゴ狩りの季節
 しかし子どもと妊婦はそれを食べないように!
 22年後の今も、チェルノブイリ原発事故の残留放射能汚染強し』

   報告者:望月浩二
   発表日:2008年7月21日

   日本語報告書提供サービス

 

望月は2008年7月17日に南ドイツのバイエルン州に出張中にたまたま土地のラジオニュースで、バイエルンの森はこれからキノコ狩りとノイチゴ狩りの季節を迎えるが、子どもと妊婦はそれを食べないように!という警告を聞いた。その理由は、22年後の今も、チェルノブイリ原発事故の残留放射能汚染が強いためであるという。EUでは食品中の残留放射能には600ベックレル/kg(生の食品重量)という規制値を設けているが、それを超えるキノコとノイチゴが現在もまれでない。野生のイノシシでは70000ベックレル/kgという実測例があった。バイエルン州では食品中の残留放射能を無料で測定するサービスが提供されている。この状況をショート・レポートにまとめる。

日本語報告書、全3頁

資料番号 M-1095

2008年7月10日

『過大評価された原子力エネルギー
   - 計算のトリックが原子力を実際以上に重要に見せかける』

    ドイツの公営ラジオ放送wdr5
    番組名:leonardo(科学解説番組)
    放送日:2008年7月7日

   独文和訳資料提供サービス


EU委員会のバローソ委員長は「原子力エネルギーは気候変動をストップさせるための少なくとも一時的な解決策だ」と主張する。しかし数字を調べてみると、どうもおかしい。というのは原発は世界の一次エネルギー消費の 2% 強を供給するに過ぎず、この 2% の気候変動抑止への貢献はネグリジブルだからだ。原子力エネルギーの評価についてEnergy Watch Group のゼルトマン氏と対話する。

原文4頁+訳文3頁

資料番号 M-1091

2008年7月10日

『原子力のおとぎ話
   - 原発が温暖化を救わず、電気料金を引き下げることができないのは何故か』

   ドイツの公営ラジオ放送wdr5
    番組名:profit(経済解説番組)
    放送日:2008年7月7日

   独文和訳資料提供サービス


かわいそうなメルケル首相!洞爺湖のG8サミットでは彼女は原子力エネルギーについては完全に孤立無援。他のすべての国はそれを利用するのに、ドイツだけは脱原発(ドイツのグロース経済相はこれを高速道路での逆方向走行車と形容)。G8での他の7ヵ国すべては原発の増設によってこそ、世界のエネルギー問題そして地球温暖化問題が解決できるという意見だ。しかし、これは本当だろうか。wdr5のデシュナー経済部解説委員と一緒に検討する。

原文3頁+訳文2頁

資料番号 M-1090

2008年6月25日

『マールブルクは太陽光利用設備の設置を条例で義務化』

文書の種類:公営TV放送zdfのオンライン版
発表:2008年6月20日(=市議会可決の日付)

    独文和訳資料提供サービス

 

【概要】
ドイツの大学町マールブルク(人口8万、市長は緑の党)では、ドイツの自治体としてははじめて、太陽光利用設備の設置を義務化する条例を市議会で可決した。建物の新築あるいは既存建物の増改築の際に適用される。太陽光利用設備は温水器でも、太陽電池パネルでもよい。罰則もある。これに続く自治体が現れるかどうかが注目される。自治体レベルでの温暖化対策の一つの方向を指し示すものといえよう。

原文1頁+訳文1頁

資料番号 M-1085

2008年6月25日

『連邦環境省は海上での風力エネルギーの増設のために3百万ユーロ(約5億円相当)を助成』

文書の種類:ドイツ連邦環境省プレスリリース
発表:2008年6月5日

      独文和訳資料提供サービス

 

【概要】
連邦環境省は、海上での風力エネルギーの増設を推進するために、2つの技術開発プロジェクトを助成する。その一つは、オフショア(沖合い)風車のための浮遊式の基礎の開発である。もう一つは、海上の風力エネルギー設備へのアクセスを天候に関係なくいつでも可能にするためのトランスファー・システムである。(右上の写真:ドイツ連邦環境省のいう「浮遊式の基礎」については今のところ、写真は発表されていない。参考のために、ノルウェーのStatoilHydro社の浮遊式のオフショア風車(棒状浮体登載風力発電機)の写真を右上に示す。)

風車を浮遊式の基礎の上に建てて海に浮かべれば、日本のように遠浅でない海岸にもドンドン風車を建てられる。海岸からは見えないような外海に風車を林立させれば、景観も騒音も問題なし、つまり、いいことづくめになる。ドイツはこれを輸出の$箱製品にするべく準備を進めている。

原文1頁+訳文1頁

資料番号 M-1084

2008年2月28日 〔2008年6月16日追記

『EUグリーン党が原発のルネッサンスを否定』

ドイツ国営ラジオ放送:dradio
放送日:2008年2月14日

独文和訳資料提供サービス

 

【概要】

欧州でも原発産業は、気候保全の議論が原発操業年数の延長と原発への投資の増額の根拠を与えると主張しているが、EUグリーン党はこの主張を退ける。

この番組ではまず、このテーマに関するEUグリーン党党首のダニエル・コーンベンディットの意見を紹介する。

次に、中立のエネルギー問題専門家であるマイケル・シュナイダーが、具体的な統計によって原発のルネッサンスが原発産業による《絵に描いた餅》に過ぎないことを示す。フィンランドとフランスがそれぞれ1基ずつ、中国が20基、日本、韓国、東欧がそれぞれ数基ずつ新規原発を建設するとしても、これから20~30年の間に世界の原発のトータル数は減少傾向になるとのこと。*)

さらに欧州ではフィンランドが現在、欧州では20年来、初めての原発を建設中だが、当初、30億ユーロ(4800億円)の予定だった建設費用が、建設工事の遅延によって、予定額を50%超過することが決定的となっている現状を報告する。

 

*) マイケル・シュナイダーの次の最新報告書(英語)の結論(p. 36)にこの記述がある。
http://www.greens-efa.org/cms/topics/dokbin/206/206749.the_world_nuclear_industry_status_report@en.pdf
The World Nuclear Industry Status Report 2007
(Updated to 31 December 2007)
by Mycle Schneider and Antony Froggatt.
Brussels, London, Paris, January 2008.

この報告書p. 28の脚注には、 A new analysis will be published shortly, Mycle Schneider, Yves Marignac, "Reprocessing in France", International Panel on Fissile Materials (IPFM).  とフランスのラ・アーグ再処理工場からの放射性汚染物質の放出に関する報告書の発表が予告されている(「正常の運転条件下でも、原発大事故時に匹敵する強度の放射性物質を放出」)。日本ではフランスの技術で建設された六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場の稼動との関連で、この報告書は大いに参考にするべきと考えられる。

 

〔2008年6月16日追記: 上記の発表予告報告書は2008年4月に発表された。タイトルなどは次のとおり:

Research Report No. 4
International Panel on Fissile Materials (Princeton University)
Spent Nuclear Fuel Reprocessing in France
Mycle Schneider and Yves Marignac
www.fissilematerials.org
April 2008, 71 pages

この報告書全文は次のリンクから入手できる:

http://www.ipfmlibrary.org/rr04.pdf

 

なお、マイケル・シュナイダーet al.が同じテーマに関して欧州議会の委託で実行した研究プロジェクトの次の報告書も参照のこと:

 

http://www.europarl.europa.eu/stoa/publications/studies/20001701_en.pdf
Mycle Schneider (Dir.), et al.,
Possible Toxic Effects from the Nuclear Reprocessing Plants at Sellafield (UK) and Cap de la Hague (France),
Final Report for the Scientific and Technological Options Assessment (STOA) Program, Directorate General for Research, European Parliament, Luxemburg, November 2001, 170 pages.


ドイツ語原文、全2頁+日本語訳文、全2頁
資料番号 M-1074

2008年2月7日

『ドイツ連邦環境省プレスリリース:

原子力エネルギーは昨日の技術であり、それに未来はない』

発表日:2008年2月7日
発表者:連邦環境省事務次官ミヒャエル・ミュラー

独文和訳資料提供サービス

 

【概要】

ベルリンで2月8~9日に開催されるドイツ原子力フォーラムに際して、連邦環境省が原子力エネルギーに関するコメントを発表したので訳出する。その要点は次のとおり:
*気候保全のためには燃料の置き換え(化石→原発)ではなく、エネルギー供給のシステム変更(大型&集中→高効率&分散)が必要。
*IPCCは、原発が気候保全のために言うに値する貢献を為しうるかどうか懐疑的。
*ドイツがエネルギー供給のシステム変更のために導入した再生可能エネルギー助成法は大成功を収めており、いままでに48ヵ国がこれを真似ている。すなわち、ドイツの投げた輪が、今や、世界48ヵ国にも広まり、さらに広まりつつある。
*ドイツのエネルギー政策の三本柱は、省エネ、効率革命および再生可能エネルギーである。

 

備考:

IPCCがどのような文章で、原発の気候保全への貢献に疑問を投げかけているか、IPCCの原文テキストをドイツ連邦環境省に尋ねたところ、次のような回答を得た。

『"Given costs relative to other supply options, nuclear power, which accounted for 16% of the electricity supply in 2005, can have an 18% share of the total electricity supply in 2030 at carbon prices up to 50 US$/tCO2-eq, but safety, weapons proliferation and waste remain as constraints [4.2, 4.3, 4.4]" 出典:IPCC (2007), Contribution of Working Group III to the fourth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change, Summary for policy makers, p. 13. http://www.mnp.nl/ipcc/pages_media/FAR4docs/final_pdfs_ar4/SPM.pdf

「原子力エネルギーは2005年には世界の電力供給の16%を寄与しているが、これは2030年には炭素の価格を50 US$/tCO2-eq とすると18%になりうるだろう。しかし、安全性、核兵器の拡散および廃棄物は依然として制約のままである。」IPCCによるさらに詳しい分析は、IPCCの暫定報告書の第4章「エネルギー供給」に記述されている:

IPCC (2007), Contribution of Working Group III to the fourth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change, Chapter 4 "Energy Supply", p. 268 and following on "Nuclear Energy"

http://www.mnp.nl/ipcc/pages_media/AR4-chapters.html

 

ドイツ語原文、全1頁+日本語訳文、全2頁
資料番号 M-1072

2008年1月29日

『ドイツがフランスから輸入する電力量について』

発表日:2008年1月29日

調査者:望月浩二
日本語調査資料提供サービス

 

【概要】

ドイツでは、2002年から32年の年月をかけて脱原発を達成することで連邦政府と電力業界が合意し、それを新原子力法として法律化した。この法律は2002年に発効し、それに基づいて、廃炉計画が定められ、着々と廃炉が進められている。

ドイツのような天然資源に乏しい工業国(工業製品輸出では世界トップ)が脱原発に成功すれば、それは同じく天然資源に乏しい工業国である日本にとっても参考になるエネルギー政策の選択肢となる。

日本の原発推進派はそれを否定するために、ドイツは脱原発と言いながら実は原発大国のフランス(原発依存率78%)から大量に電力を輸入しているので、ドイツの脱原発は脱原発ではない、という説を広めている。

例えば、http://nucnuc.at.webry.info/ の、
「「原発反対、日本もドイツやデンマークの様に自然エネルギー開発を!」というのはよく聞く話です。しかし、ドイツは・・・原子力大国のフランスから電力を大量に輸入しています。」はその典型例。

こうした風説では、定量的な数字は用いずに、「大量に」というような曖昧な表現を使うのが常套手段である。

そこで、最新の統計(2004年)を調べたところ、ドイツは、国内の総発電量(Wh)の 2.8% の電力をフランスから輸入していることを確認したので、その結果を報告書にまとめる(データの出典と計算を明記)。この数値は、ドイツ政府の放射線防護委員会(SSK)の委員キュッパース氏が日本での2003年3月の講演で語った 2 % に近い。なお、ヨーロッパでは国境が地続きの隣国同士で電力を融通しあうのは正常。

日本語調査資料、全9頁
資料番号 M-1071

2007年12月8日

『ドイツ連邦環境省プレスリリース:連邦環境省は原子力発電所の近所に住む子どものガン発生率に関する研究結果を再検討するように指示』

発表日:2007年12月8日

独文和訳資料提供サービス

 

【概要】

2007年12月8日のドイツの新聞とテレビは一斉にトップで、5歳以下の子どもでは住む場所が原発に近ければ近いほど、ガン(含む、白血病)に罹る確率が高くなるという連邦放射線保護庁(BfS)が同日に発表した研究結果を報道した。

この研究は、全ドイツの子どものガンの記録簿によって、23年間にわたるガンの発生と住居から原発までの距離(25mの精度で決定)との相関を統計的に調べたもの。

この研究は有意の相関を結論するが、その方法が純粋に統計的なため、連邦環境省は放射線保護委員会(www.ssk.de)に研究結果の再検討を指示した。

 

BfSがhpに載せた英訳情報は次の3本:

 

http://www.bfs.de/en/bfs/presse/pr07/pr0712

Press Release 012 as of 2007/12/10
Childhood cancer risk in the vicinity of nuclear power plants:
President König presents results

http://www.bfs.de/en/bfs/presse/pr07/pr0714.html
Press Release 014 as of 2007/12/19
BfS and GCCR jointly support results of the childhood cancer study

http://www.bfs.de/en/kerntechnik/papiere/Expertengremium.html

Statement by the external BfS panel of experts on the KiKK study

 

ドイツ語原文、全1頁+日本語訳文、全2頁
資料番号 M-1059

 

2007年11月15日

『世界の原子力エネルギーにルネッサンス?その神話と現実』

講演者:マイケル・シュナイダー(Mycle Schneider)
講演日:2006年4月8日
講演イベント名:チェルノブイリ20周年国際会議(ボン、2006年4月7~9日)
主催者:核戦争防止国際医師会議(IPPNW)... 1985年度ノーベル平和賞受賞
独文和訳資料提供サービス 

 

【概要】
グーグルにて「原発 ルネッサンス」で検索すると、82,000 件のヒットがあるほど、このテーマは話題になっている。ルネッサンスあるいはルネサンスは、復興、復活あるいは再生を指す言葉だが、原発は本当に復活しつつあるのだろうか。

エネルギーおよび原子力政策の分野で中立の、国際的に認められた科学者かつ助言者として著名なマイケル・シュナイダーのこのテーマの講演を訳出、提供する。

1998年から2003年までマイケル・シュナイダーはフランスの環境大臣室およびベルギーのエネルギーと持続可能発展大臣室のコンサルタントを務めた。2000年からは彼はドイツ連邦環境省の原子力コンサルタントを務める。彼は今までに世界の9ヵ国の政府に招かれて助言を行ってきた。日本では、彼は2004年3月2日に内閣府原子力委員会の招きで意見を述べた。

ドイツ語原文、全3頁+日本語訳文、全5頁
資料番号 M-1055

2007年10月23日

原子力発電は安価でもなく気候保全のためにもよくない』

発表者:ドイツ連邦環境省
発表日:2007年4月24日(プレスリリース 113/07)
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【概要】

「気候保全のためには原発のルネッサンスを」というのは原発産業が発案した宣伝文句であるが、ドイツ連邦環境省がこれは事実無根であることを科学的に証明すると結論する研究結果を発表したので、その要約(プレスリリース)を訳出し、論文の英訳版全文を添付する。方法論的には、すべての発電方式のライフサイクルCO2発生量を比較する。

ドイツ語原文、全1頁+日本語訳文、全1頁
論文の英訳版、全11頁
資料番号 M-1051

 

2007年10月23日

環境大臣は原子力エネルギーが気候変化の対策にはなりえないことで意見が一致』

発表者:ドイツ連邦環境省
発表日:2007年10月1日(プレスリリース 263/07)
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【概要】
ドイツ、オーストリア、イタリア、アイルランド、ラトヴィアおよびノルウェーの環境大臣がウィーンでエネルギーと地球温暖化をテーマに2回目の会議を行い、上記のタイトルの結論で意見が一致したことを報ずる。採択された共同声明には「原子力エネルギーと持続可能の発展とは相容れない」という文章が盛り込まれた。EU27ヵ国から見れば、これら5ヵ国(ノルウェーはEU非加盟)はまだ少数派だが、今後の動向が注目される。

ドイツ語原文、全1頁+日本語訳文、全1頁
資料番号 M-1052

 

2007320

『原子力-無責任な威嚇、取るに足らない可能性

クラウス・トラオベ

発表日:2005年8月
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【概要】

著者のトラオベ博士(Prof. Dr. Klaus Traube)は、1959~1976年、ドイツおよび米国の原子力産業で従事、最後には、ドイツの原発メーカINTERATOM社の業務執行取締役としてカルカーの高速増殖炉の開発と建設の最高責任者を務めた。この論文は、ドイツの政党SPDの脱原発の理論的根拠を述べる論文集の冒頭に収録。この論文集は全120頁で、連邦環境庁(UBA)総裁のトローゲ博士の論文など全部で36本の論文を収める。

※ドイツの二大政党はSPD(ドイツ社会民主党)とCDU(キリスト教民主同盟)です。CDUは原発に関する理論的な文書を発表していません。もしもCDUがそれを発表すれば、紹介いたします。

 

ドイツ語原文、全11頁+日本語訳文、全15頁

資料番号M-1010

無償ダウンロードはここ

2006年10月19日
『原子力は将来のエネルギーではない』
ドイツ連邦環境省

プレスリリース No. 202/06

発行日:2006年8月10日

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【概要】

循環経済では日本はドイツを手本にしたので、日独はよく似ているが、エネルギー政策と温暖化対策の分野では両者は180度違う。

日本は《原子力とLNGに依存する》シナリオを描いているのに対して、ドイツは《30年という歳月をかけての脱原発と地球温暖化対策の両立、そのために再生可能エネルギーに注力》というシナリオを描く。この遠大な計画の実現を目指して、ドイツでは再生可能エネルギーの発電量がすでに総発電量の11%に達する。

そのドイツにも、原発のリバイバルを狙う動きがあり、論争が絶えない。そこで連邦環境省が、なぜ脱原発かを事の原点から説明するプレスリリースを出したので訳出する。

原発のリスクに関しては、2006年7月25日にスウェーデンのフォルスマルク原発で発生した事故に言及。ドイツではこの原発の設計者ヘクルント氏の言葉として「チェルノブイリとハリスバークの事故以来、最も重大な事故」との報道もあったこの事故は日本では新聞も放送も一切、報道しなかった。

ドイツ語原文、全3頁+日本語訳文、全4頁
資料番号 M-999